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2024年11月21日

毎年100人が辞退! 新潟大を蹴った高校生が“選んだ大学”

2020年05月27日

新潟大に合格しても、入学を辞退する生徒は毎年、約100人を数える。このことはあまり知られていない。受験した以上、入学する意思はあったはずだが…。新大を選ばなかった若者が選んだ道はどこか。

 

例えば新潟高校は今回、5人が辞退した。5人が選んだ具体的な進路は回答いただけなかったが、「進学せずに浪人する生徒もいる」という。

 

同校に限らず、また新大に限らず、「あえて浪人」する者は毎年、少なからずいる。

 

どうしても行きたい大学があるのだろう。

 

どうしても学びたい学問があるのだろう。

 

とはいえ、毎年約100人もの合格者が、新大を選ばないという事実は考察するに値するのではないか。

 

「新大が選ばれない理由を知りたい。理由が分からずともせめて選んだ道だけでも知りたい」

 

中越地方の高校教員は本誌に疑問をぶつけてくれた。ある教育機関関係者も、新大辞退者の数を気にかけていた。

 

「かつて本県の高校は、新大にいかに多くの合格者を出すかを意識していたはず。新潟予備校という新大合格を前面に出した予備校まであった。生徒にとっては行きたい大学であり、教員や予備校から見れば生徒を行かせたい大学だったはずだ。ところが、現在の新大は定員充足がやっとの学部があり、入学辞退者も少なくない。もはや、行きたい大学でも行かせたい大学でもなくなったと言えるのではないか。一県民としては復権してほしいのだが…」

 

とは言うものの、併願調査の稿からも分かるように、明治大や立教大など首都圏難関私立大に合格しながら、新大に進学した者もいる。ただし、「新大に行きたかった」のか「経済事情等で新大を選ばざるを得なかった」のかは分からない。

 

県内生の辞退者はどこに行ったのか? 本誌の調査対象58校に尋ねたところ、実に37人が辞退したことが分かっ
た。主な進路は次のとおり。

 

▼新潟県立大・国際経済
▼高崎経済大・経済
▼静岡県立大・薬
▼近畿大・理工
▼駒沢大・経済
▼上智大・経済
▼中央大・経済

▼中央大・理工
▼東洋大・文
▼東京理科大
▼新潟薬科大・薬
▼日本歯科大・新潟生命歯
▼法政大・文
▼武蔵野美術大
▼明治大・総合数理
▼明治大・農
▼立命館大・経済
▼浪人

 

ある教育関係者が分析する。「いまでこそ値上げはストップしていますが、国公立大はおよそ15年前まで学費と入学金を交互に値上げしてきました。その結果、国公立大と私立大との学費差が小さくなり、国公立大の“ウマ味”がなくなりました。国公立大の唯一ともいえる優位さは、もはや学生数に比して教員数が多いことくらいになりました。首都圏に立地というロケーションの優位性、就職の選択肢増などを加味すれば、首都圏私立大に進んだ方が良いという考え方もできるでしょう」

 

実のところ、例年、辞退者の半数から7割ほどは、県外受験者が占めている。新大を含む県内大学の魅力を高めないと、若者がいなくなってジリ貧になってしまいそうだ。

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