上限200万円の持続化給付金をもらって休業するのも手⁉
2020年05月27日
休業要請に応じた居酒屋やバーなどの飲食店、カラオケ店をはじめとする遊興施設などはどこも売り上げが激減。経営が立ち行かなくなっている事業所は、新たに国が用意した持続化給付金の申請を急いだほうがいい。一見すると手続きが難しそうだが、事業主にとっては使い勝手の良い支援制度となっている。
売り上げが前年同月比50%以下なら給付対象
JR新潟駅前の飲食店主がため息交じりに話す。
「うちの店はバーですから接客を伴う飲食店ということで県からの休業要請に従って店を3週間閉めました。休業要請に応じた協力金として計20万円もらえるそうですが、これだけでは家賃の支払いもままなりません。
“このままでは廃業しなけりゃならないか…”と落ち込んでいたところ、知り合いの社会保険労務士さんから“上限100万円の国の給付金制度があるから申請しなよ”と教えてもらったのです」(JR新潟駅前のバーのマスター)
その給付金制度とは、国の持続化給付金だ。同給付金は中小法人等に対して上限200万円、個人事業者等に対して上限100万円を給付するもので、新型コロナウイルス感染拡大を背景に苦境にあえいでいる事業主の支援策として新たに創設された。
この飲食店主は法人ではなく個人でバーを経営しているため、給付金は上限100万円。もちろん返済する必要はないことから、是非とも給付を受けたいと考えた。
とはいえ中小企業庁のホームページを見た同氏は、そこに記されている内容が難しすぎて頭を抱えてしまったという。
制度内容を説明する同庁のホームページには以下のように記されている。
〈給付金の給付額は、100万円を超えない範囲で、2019年の年間事業収入から、対象月の年間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものとします。〉(中小企業庁のホームページより)
実に難解な言い回しで、まるで“ひっかけ問題”のようだ。さらに“対象月”の注釈も分かりづらいことこの上ない。
〈月間事業収入が、前年同月比50 %以下となる月で任意で選択した月を【対象月】と呼びます。対象月は、2020年1月から12月までの間で、事業者が選択した月とします。〉 (同)
飲食店主がいう。
「最初に読んだときは、意味がまったく分かりませんでした」(JR新潟駅前のバーのマスター)
これに対して知り合いの社労士は分かりやすくこうアドバイスしたという。
「対象月には、今年に入ってから一番売り上げが少なかった月を選択してください。たとえば今年4月の売り上げが一番少なくて10万円しかなかったとしたら、去年4月の売り上げを帳簿で確認してください。20万円以上売り上げがあったら、今年4月は売り上げが去年の同じ月に比べて50%以下ということになりますから給付金をも
らう資格があります。
次に給付額がいくらになるか計算しましょう。まず対象月として選択した今年4月の売り上げ10万円に12を掛けると120万円となります。この120万円を2019年の年間売り上げから差し引くのですが、仮に年間売り上げが300万円だったとすると120万円を差し引いて180万円となります。
ただし個人事業主の給付金は上限100万円ですから、給付額は上限の100万円となります」(飲食店主の話を基に本誌が要約)
200万円を上限とする中小法人等に対する給付についても、対象月の選択や売り上げの比較対象はこれと同様だ。
別の社労士が耳打ちする。
「飲食店などの場合、持続化給付金をもらっても客足が少ないうちは休業してしまうのもひとつの手です。当然ながら休業中は雇用調整助成金を活用して従業員の雇用を継続する。
このように持続化給付金を本格的な営業再開までのつなぎ資金と位置付けると、苦しい中にも少しは展望が見えてくるのではないでしょうか」(新潟市の社労士)
受給資格のある事業者は是非とも申請していただきたい。