『骨粗鬆症』
2020年04月27日
新潟大学医歯学総合病院
高次救命災害治療センター 助教
渡邊 要 氏
■医師データ
渡邊要。東京医科大学卒。新潟大学整形外科入局。長岡中央綜合病院、新潟中央病院、佐渡総合病院への出張を経験後、現職。ポートクリニック好生堂では週3回、診療を担当。日本整形外科学会専門医。日本骨粗鬆症学会認定医。日本航空医療学会(ドクターヘリ)認定指導医。
骨粗鬆症になると、骨折しやすくなる。骨折した部位によっては、寝たきりの原因となることも。その意味では、骨粗鬆症は予防が重要だ。なぜ予防のため薬の服用が必要なのかなどを取り上げる。解説は新潟大学医歯学総合病院高次救命災害治療センターの助教で、週に3回、ポートクリニック好生堂で整形外科の診療も行っている渡邊要先生にお願いした。
「まず初めに、皆さんによりよく理解していただくために、なるべく簡単な言葉でお伝えします。それ故に、専門家からみて表現の仕方が多少間違っているところもあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。
基本的に、お薬は症状が出始めた時に必要になります。熱が出た時には解熱剤、怪我をして痛みがある時には痛み止め、傷が化膿した時には化膿止めといったように。
しかし、骨粗鬆症薬は基本的には予防のためのお薬です。症状が出る前にお薬を飲むのですから、本当に必要なのかなと思ってしまうのも当然かと思います。そして、そのお薬の作用等をよくわかっていないのなら、なおさらかと思います。そこで骨粗鬆症薬について少し説明させていただきます。
我々の骨には、古い骨が壊され、新しい骨が作られるという代謝サイクルがあります。この代謝回転のバランスが崩れてしまうとスカスカの骨になってしまうのです。特に女性の場合は閉経後にホルモンの影響を受けて骨密度が下がる方がおられます(閉経後骨粗鬆症)。そこで、古い骨を壊すスピードを抑えてしまえばいいという考え方から骨粗鬆症薬が作られました。これは骨粗鬆症治療で一番使われているお薬です。古い骨が壊れないのだから骨密
度の低下を防ぎます。しかしそれでは逆に新しい骨も作られないのでは、という考え方もできます。骨密度ではなく、骨の質のことを考えれば、多少古い骨が壊れたとしても、それ以上に新しい骨をつくればいいのではといった考え方もできます。その考えから出来た骨粗鬆症薬もあり、最近ではこちらの治療法が主流になりつつあります。…続きは本誌に