無罪判決を勝ち取った上越市・竹内整体院長
2020年04月27日
整体の施術に訪れた女性客2人にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた上越市の整体師に地裁高田支部が無罪判決を言い渡した。185日間に上る勾留中、一貫して無実を主張し続けた被告は「無罪」を告げられた瞬間、肩を震わせて泣いた。そもそもなぜ被告は逮捕されなければならなかったのか? これまでの法廷で明らかとなった被害女性らの証言を振り返ると、あまりにも多くの矛盾点が浮かび上がる。
無罪判決言い渡しの瞬間、被告も妻も涙して…
判決公判が開かれた3月23日、地裁高田支部には被告の親族や支援者らが続々と詰め
かけた。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大防止策として入廷制限が敷かれたことから、定員36人の法廷での傍聴が許されたのはわずか14人。そのうちの一人がほかならぬ本誌記者だ。
入廷した竹内寛揮被告(40)は黒のスーツ姿。同被告は上越市浦川原区で竹内整体院を経営、院長を務めている。
3人の裁判官が入廷、裁判長が「被告人は証言台の前へ」と促すと、竹内被告が被告席を立って歩み出る。
正直なところ記者は、それまでの公判を傍聴してみて、有罪判決が言い渡されるの、無罪判決が言い渡されるのか、その割合は五分五分ではないかとの印象を抱いていた。
なにせ日本の刑事裁判の有罪率は99・9%超にも上る。裏を返せば無罪判決が言い渡
される割合は0・1%にも満たない。検察に起訴された被告には、ほぼ100%有罪判決が言い渡されるのが実情だ。
しかしこの日はいつもの判決公判とは少々様相が異なっていた。通常であれば被告が証言台の前に立つと、裁判官が「では判決を言い渡します」と前置きして主文を読み上げるのだが、そうではなかった。
裁判長は竹内被告にこう言った。
「判決の朗読に時間がかかりますので主文は立ったまま聞いて、判決理由は座ったまま聞いてください」 (裁判長)
裁判長のこの言葉を聞いた瞬間、記者は無罪判決が言い渡されることを確信した。通
常、同種の事件で有罪判決が言い渡される場合には、主文や判決理由の朗読にせいぜい10分程度しかかからないからだ。
一呼吸おいて、裁判長が判決を言い渡す。
「主文 本件各公訴事実について、被告人はいずれも無罪」(同)
傍聴席からは被告の背中しか見えないが、肩を震わせて嗚咽している。
また傍聴席の最前列には感極まって号泣する妻の姿もあった。
被害女性が記した〝被害者〟らしからぬ日記の内容
竹内被告が逮捕されたのは2019年5月20日のことだった。ある朝、突然、警察から任意同行を求められ、女性客Bさん(当時41歳)に対して、わいせつ行為をした疑いで事情聴取を受けた。同被告は容疑を否認したが、その日のうちに逮捕。…続きは本誌に