官製談合事件の“不都合な真実”に蓋をする長岡市
2020年04月27日
牧野の殿様時代から、長岡は筋をとおす気風で知られた。都市の品格は県内の自治体で別格上位。その長岡だが、近頃劣化してきてはいないか? 3月の市議会で複数の市議が渾身の質問をぶつけた。昨年発覚し、容疑者がことごとく有罪となった官製談合事件。市議らは膨大な検察の確定資料を閲覧し、市側の主張が検察側の認識と大きく乖離していることを突き止めた。その食い違いに、市は断固反論するわけでもなく、市も、そして共産党を含む実質オール与党の議会も調査すらしないという。「常在戦場」の精神は骨抜きになってしまったようだ。
「まさか」とも、「やはり」とも
若手の1期目、須佐武史市議、6期目のベテラン、関貴志市議は、ともに会派に所属しない無所属の議員だ。3月定例会でこの2人が質問に立ったのは同月9日のこと。質問内容はともに「官製談合事件について」だった。
長岡市議会の定数は34。議会内には16人で構成する市民クラブを筆頭に、長岡令和ク
ラブ(4)、民成クラブ(3)、長岡市公明党(3)、日本共産党長岡市議団(2)と5つの会派がある。須佐、関両市議のように無所属の議員は6人。「長岡市議会はオール与党」と言われることがある。だが正確ではない。前出2人のように、「与党でも野党でもない」、是々非々を基本的な立場とする議員もいる。
それはともかく、2人が質問した「官製談合事件」だが、発覚したのは昨年1月18日のこと。午後3時過ぎに流れた第1報は極めてショッキングだった。その内容は以下のよう。
「長岡市が発注する下水道工事に関連する談合事件で、市内2業者の社員、市の幹部、そして星野伊佐夫事務所の金内省治秘書が逮捕された」
「まさか」の事態だった。今さら言うまでもないが、連続11期当選(当時)の星野県
議(長岡市・三島郡)は自民党県連の会長も務めた重鎮だ。第1報が伝えられたその日、まさしく県の政界全体に激震が走った。
事件の概略について、須佐武史市議は質問の冒頭でこう述べている(市議らの質問、
市側の答弁は本誌で要約したもの。以下も同じ)。
「長岡市の幹部職員であった地域政策監兼土木部技監、及び工事検査監が県議会議員の秘書に対し、秘密事項である公共工事の工事予定価格を漏洩しました。その県議秘書を通じ、工事価格を知った会社が、市発注工事を実際に落札するに至ったという、いわゆる官製談合防止法違反と公契約入札妨害で(関係者が)逮捕された事件です」
須佐議員は昨年4月の初当選。事件が発覚した当時、まだ議員ではなかった。
明らかにされたのは、情報漏洩の50分の3だけ
須佐武史、関貴志の両市議らは昨年夏以降、検察庁で官製談合事件に関する裁判記録(確定記録)を閲覧したり、情報公開請求するなどしてきたという。こうした記録は証拠書類や判決文など、ほか捜査関係資料を含むものだった。これらを精査した結果として、須佐議員は質問でこう述べている。…続きは本誌に