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2024年12月3日

新潟県給与名鑑 民間企業編

2020年03月27日

労働者の賃金を調査する統計はいくつかある。その中で“二大賃金統計”と言われる「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)と「毎月勤労統計調査」(同)による新潟県平均は、前者が410万円、後者が351万円だった。なぜ差が開くのか、産業別の平均年収はいくらか、年代別にはどうかなど、民間企業で働くサラリーマンやパートタイマーなどの給与の実態を詳らかにしていく。先月の公務員編に続き、今月は民間企業編をお送りする。

 

初任給の魅力に欠ける新潟県

 

民間企業で働く労働者の賃金を調査する国の統計は主に4つある。先の2つの他、国税庁が行う「民間給与実態統計調査」、人事院が行う「民間給与統計調査」だ。それぞれの調査の概要は最後に記したので参考にしてほしい。

 

統計は統計でも、調査対象や集計方法が異なることで結果は異なってくる。本稿で主に使う賃金構造基本統計調査(以下、賃金構造)と毎月勤労統計調査(以下、毎月勤労)では、本県労働者の推定平均年収は60万円も違う。決して小さくはない差が生じる理由をごく簡単に述べると、集計にパートタイム労働者を含むか含まないか、だ。

 

賃金構造は、正社員とパートを分けて集計している。毎月勤労は分けずに集計する。本稿では、表Ⅳ―①で「パートタイム労働者を除いた推定年収」を掲載しているが、これは毎月勤労に掲載されているデータ。また、表Ⅷでは「短時間労働者の時給、賞与」を掲載したが、これは賃金構造に掲載されているデータだ。

 

それでは掲載した表やグラフの順に見ていこう。

 

表Ⅰは、本県と近隣県・首都圏(一都三県)の都道府県別・学歴別の初任給額。本県は首都圏への“人材輸出県”と言える。本県への転入から他県への転出を引いた数は、転出数が約8000人(日本人のみ)の超過であり、しかも全国一の転出数(総務省「2019年人口移動報告」)。その行き先の大半は一都三県というのが毎年の調査結果である。なぜ一都三県に流出するのか。

 

識者が口を揃えるのは「大学進学と就職」。日本を代表する企業、世の中の最先端を進む企業、そしてレジャーを含め地方にはない魅力が一都三県に集中している。だが、何と言っても若者を惹きつけるのは待遇だろう。

 

大卒を見ると、男で20万円を下回るのは本県と長野県のみ。東京の21万9800円を指数100とすれば、本県男の19万4700円は88
・6(%)で、金額では2万5000円も開く。

 

好待遇を示せば優秀な人材を集めやすい。示せなければソコソコの人材しか集まらない。本県の優秀な人材は皆、首都圏がさらっている。

 

男女計の指数を見ると、高校生では全国平均と同水準だが、学歴が上がるにつれ下回り、差が開いていく。高学歴の優秀な人材を、本県は必要としていないということだろうか。…続きは本誌に

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