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2024年11月24日

緊急事態 新潟市議会一般質問4連休の波紋

2020年03月27日

県内で新型コロナウイルスの感染者が集中した新潟市。折しも新潟市議会が開会中で、同市議会は3日午後から6日までの4日間で行う予定だった一般質問を急きょ取りやめた。緊急事態への対応だったのだろうが、残念ながら真意はそのまま伝わらなかった。

 

「桃の節句」にひな壇が…

 

新潟市議会2月定例会の会期は同月18日から3月24日までだった。同市が「県内で初めて新型コロナウイルスの感染者を確認した」と発表したのは2月29日のこと。感染者は東京都在住の60代男性で、母親の介護のために2月15 日から秋葉区に帰省していたという。

 

県内の感染者は3月19日の段階で24人。そのほとんどが新潟市内での発生だった。初めて同市内で感染が確認されてから、中原八一市長をはじめ、関係する市の幹部はその対応に忙殺されたという。

 

一方の新潟市議会だが、定例会が開会して以降、常任委員会などの日程を終え、2月25、26日の両日、本会議場で会派の代表質問を行った。こうした本会議の場では、市長をはじめ市の幹部もズラリとひな壇に並ぶ。

 

本会議場で市議が登壇し、市長らと質疑を交わす一般質問は3月3日の午後から同月6日まで行われる予定だった。質問を通告していたのは22人。この一般質問でも、市長をはじめ市の幹部は終始ひな壇に張り付いていなければならない。

 

贔屓の議員が一般質問で登壇する際、必ず傍聴に訪れるコアなファンもいる。特定の議員を支持しているわけではないが、一般質問を傍聴に来る市民も少なくない。新潟市議会の本会議はインターネットで生中継される。直接議場に行かなくとも、ネットの配信を視聴するファンもいる。

 

一般質問の初日は3月3日、すなわち「桃の節句」で雛祭りの日の午後だった。この日、市議会の入り口には「一般質問中止」の張り紙が掲示された。

 

「私はネットで視聴しているのですが、この日はいつになっても始まらず、どうしたのかと思いました」(市議会ファンの秋葉区70代男性)

 

ネットでは伝えられなかったらしいが、市議会の張り紙にはこうあった。〈市議会一般質問については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止とその対応等を考慮し、中止することといたしました〉。

 

「3月3日はお雛様の日ですが、市議会のひな壇に誰も並ばなくなったということですか。これも致し方なしですね」 (同)

 

真意、伝わらず…

 

張り紙の文面はやや具体性を書いたため、一部に変な憶測を生じさせることになった。

 

「3月3日、市役所と同じ中央区にあって数キロしか離れていない県庁では、県議会は中止になることもなく、普通にやってましたよ。何で市議会だけが中止なのか」(市議会傍聴の常連者)

 

それもごもっともだ。以下はマジではなく、あくまで冗談の延長話。

 

「一般質問する予定だった議員に感染者がいたんじゃないの。だから急きょ中止したとか…」 (同)

 

もちろんそんなことはない。新潟市議会の一般質問中止は3月3日午前の議会運営委員会で佐藤豊美議長が提案し、全会一致で可決されたとか。「一般質問を4連休にしたのだから、議員からその分の給料を返納してもらわなきゃ」(同)

 

これもまあ一理あるかも。それにしても一般質問を中止した主な理由が、残念ながら外部にきちんと伝わっていなかったようだ。

 

「答弁するしないに関わらず、一般質問では市長や副市長、幹部職員らが一日中ずっと本会議場のひな壇に張り付いていなければならない。新型コロナウイルスの感染拡大という緊急事態で、市長、副市長、関係部長らは対応に忙殺されていた。一般質問中止は市長、副市長らが対応に当たることを優先させるための措置。

 

同じ日、県議会では一般質問などが終わり、常任委員会が開催されていた。常任委員会は知事、副知事は出ないので、新型コロナウイルス対応に当たることができた。市議会でも一般質問は中止されたが、その後の常任委員会は予定どおり行われている」 (市議会筋)

 

一般質問中止について、市議会内部で批判的な声がないわけではなかった。

 

「まったく中止するのではなく、短くてもいいから新型コロナ対策の集中審議を行い、それから一般質問を中止してもよかったのではないか」 (別の議会筋)

 

これも一理ある。いきなり「一般質問中止」では、何のために議会があるのか分からない。とにかく今は感染拡大が終息することを願うしかない。

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