『適応障害』
2020年01月27日
■医師データ
奈良康(ならやすし)。新潟大学医学部卒。新潟大学医学部精神医学教室入局。川室記念病院、佐潟荘などを経て平成26年4月に奈良心療クリニックを開院。
気分が落ち込む、疲れやすい、何をやっても楽しくない、眠れない………こんな症状が出始めると、誰しもがうつ病かなと思ってしまうのではないか。ただ、ちょっと待っていただきたい。もしかしたら、それは適応障害かも。今回はストレス社会の昨今、増え続けている適応障害を取り上げる。解説は奈良診療クリニックの奈良康院長にお願いした。
「適応障害とは、周囲との軋轢やストレスなどを原因として、うつ病のような症状を呈する病気です。
うつ病は原因がはっきりしないことが少なくありませんが、適応障害は原因が特定されやすいことが特徴です。その原因の多くは人間関係のトラブルです。
職場で上司に繰り返し叱責される、モラハラやパワハラを受けるなど人間関係がこじれることが代表例です。また、職場に限らず、夫婦関係や親子関係、近所付き合いなど、人間関係が介在する環境であれば、その関係が悪化することにより、どこでも発症する可能性があります。人間関係がこじれにこじれ、そのリカバリーが利かなくなって発症する人が多いです。ですから、ストレスフルの状態になれば、男女の別や年齢などに関係なく、誰でも発症する可能性があります。
適応障害は原因がはっきりしているので、その原因を取り除けば改善に向かう可能性が高いです。裏を返せば、原因が解決しない限り、抗うつ薬や抗不安薬などの薬をいくらつぎ込んでも、なかなか改善に向かわないということになります。うつ病の場合は抗うつ薬や抗不安薬が効果を示すことが多いので、その点でも決定的に違います。