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2024年11月21日

2019年3月卒業高校生の全進路

2020年01月27日

令和初であり、かつ制度としては最後のセンター試験が終わった。どのような結果だったにせよ、2月以降の二次試験、あるいは私大入試の準備に余念がないだろう。来年から始まる共通テストに、今回は浪人回避傾向が強まると見られている。さて、1年先輩になる2019年3月卒業生はどのような進路選択をしたのか。詳細なデータとともに“本県事情”を見ていく。

 

30年前の大学進学率は全国最下位

 

平成最初の年(1989)、本県の大学・短大等進学率(以下、大学進学率)は19・4%を記録した(全国平均は30・7%)。全国順位は47位。言うまでもなく最下位。実のところ、定位置だった。それでも直近5年では最も高い数値を叩き出していた。

 

「いまでも町村部で聞く話ですが、『大学なんか行かないでいい。家業を継いでくれればいい』という考えが親世代に根強かった時代」(現役の高校教員)

 

田んぼを守ってくれればいい。店を継いでくれればいい。当時は個人商店も少なくなかった。

 

「食うに困らなかったからか、大学進学の必要性を感じていなかったのでしょう。当時は商業科、工業科、被服科といった実業科がかなり多かったことも、高卒で就職という流れを後押ししていた」 (同)

 

同年の就職率は48・6%(全国は35・6%)。2人に1人が就職していた。5人に1人の大学進学率とは好対照だった。県内に四年制大学は国立が3、私立が2で計5つしかなかった時代だった。その後、私立大がどんどんと設立され、本県の大学進学率は上昇一途をたどる。令和元(2019)年度の大学進学率は47・9%(全国平均54・8%)、就職率は19・0%(同17・6%)。平成元年から約30年を経て、数値が入れ替わった様相を呈した。

 

平成の世に入って本県の大学進学率が向上した要因は、前述したように私立大がたくさん設立されたことが最大と言えよう。現在の大学数は国立が3、公立も3、私立が13で計19大学。短大は5。今年4月には専門職大学が開校し、さらに増える。

 

向上した大学進学率に、一時は期待が高まった。教育施策がハマったと教育界は自画自賛しても見せた。令和の世になり、事情が変わった。

 

「ここまで大学が増えると、単なる大卒に意味はなくなる。結論を言えば、難易度の高い大学卒業者が持て囃される。これまでとあまり変わらないということです。難易度の高い大学に行ける力とこれからの社会に通用する力は、結果的にイコールになると見ていい。

 

大学入試改革を含む高大接続改革では、『基礎的な知識・技能』、『思考力・判断力・表現力等の能力』、『主体性・多様性・協働性』という『学力の3要素』を育み、大学入試で多面的に評価することが第一に謳われています。冷静に考えてもみれば、そういう力が備わっているから難易度の高い大学入試を突破できる。難易度の高い高等教育にもついていける。そういう人材の争奪戦になるわけです」(高校の進路指導担当者)

 

頭を使う仕事をする側になるか、体を使う仕事をする側になるか。AI(人工知能)をコントロールする側になるか、AIにコントロールされる側になるか。同じ大卒でも、学力レベルの高低で進む道が分かれる可能性が、いま以上に高まるそうだ。「頭を使うというのは、課題を解決する力とも言えます。人と協働するのはもちろんですが、AIとも時には協働して課題を解決していく。本県は実に多くの課題を抱えています。これを解決する優秀な頭脳を全国で欲している。現実は、最優秀層は大学進学時点で新潟を離れ、難関大に進学。卒業しても新潟に戻らず、能力を発揮できる場所を求めて世界中どこにでも行きます。

 

新潟に残るまたは戻るのは、『優良可』で言えば『可』が圧倒的で、『良』がほんの少し。高校教育の段階で、せめて『良』レベルの生徒を増やすことが肝心です。現実は『可』が多く、『可』に満たない生徒もかなりたくさんいる。これで新潟の未来は明るいと言えるのでしょうか」(高校関係者)

 

お手軽な大学進学でお茶を濁す

 

『優良可』を大学の難易度で示すと、『優』は国立大が東大、京大、私立大が早稲田、慶応、『良』は国立大が東大と京大を除く旧帝大、筑波、千葉、神戸、私立大が上智、東京理科、明治、青山学院、立教、『可』は新潟大などの地方国立大、私立大が法政、中央、学習院、成蹊、成城、日本、東洋あたりだとこの高校関係者は言う。…続きは本誌に

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