新潟駅で「稼ぐ」大胆なアイディア
2019年12月27日
新潟県の玄関口で新潟市の顔である新潟駅。万代口駅舎は1958年(昭和33)に竣工した。現在は、連続立体交差事業と駅周辺整備事業が同時進行している。2021年(令和3)に全面高架化。2023年(令和5)には万代口広場の整備が完了し、駅舎も生まれ変わる予定だ。見てくれが良くなれば、モテるかと言えば、新潟駅に関してはちょっと疑問。顔がダメなら中身で勝負⁉
新潟駅前地価が物語る新潟駅への期待〝薄〟
本誌は12月号、今号と2号連続で、フォトリポート「都市の顔『駅』」を企画した。
JR新潟駅の他、高崎(群馬県)、大宮(埼玉県)、宇都宮(栃木県)、富山、金沢(石川県)、福井の各JR駅とその周辺を写真に収めた。
上越・東北新幹線の開業に合わせて作られた関東の駅舎。一部は市街地を巻き込んだ再整備が進み、生まれ変わろうとしている。北陸の駅舎は北陸新幹線開業に合わせて新改築。近代的かつ機能性を重視したデザイン、和を重視したデザインなど、昭和の時代とは趣の異なる〝顔〟を見せている。
新潟駅万代口駅舎は、それはもう昭和の香りがプンプンと漂う。さりとて東京駅のように、大正時代の趣を上手に残しているわけでもない。政令・新潟市の顔は、若作りもできず、化粧もできず、ただ老けゆくのみ…。いや、前述のように駅そのものは現在、連続立体交差事業が進められている。駅舎も数年後に生まれ変わる。
「現在進められている事業は、在来線ホームを新幹線ホームと同じ高さにするもの。これにより、駅の南北が地上でつながります。駅高架下はバスだけが走れるようになります。また、万代口は駅前が広場になる予定です」(不動産関係者)
気になる駅舎は、「どうやら駅ビルは建たず、ただ駅舎が建て替えられる見込み」(同)とのこと。いま以上の賑わい空間にはならない見立てである。
「駅を整備すれば、普通は目に見えて地価が上がるのに新潟駅前は微増。整備に見合った価値はないという評価なのでしょう」(同)。
市は「駅舎」に関する完成予想図は示していない。ついでに言えば、当初絵図面に描かれていた万代口のペデストリアンデッキは、現在の完成予想図からは消えている。BRTもそうだが、新潟市は当初予定をコロコロと変えたがる。〝市政方針〟に柱がないのである。
万代口前に立ち並ぶ商業ビルも一部、建て替えが進んでいる。ということは、駅も駅前ビルも、工事や建て替えが終われば、向こう数十年は手を加えることができなくなるわけだ。
新潟市は一応、都市のグランドデザインを描いている(写真①)。新しく整備するというよりは、「いまあるもの」を使って描いているように見える。とはいえ一応、市の考えである。個々の商業ビルの建て替えは、このグランドデザインと合致するものなのか。他にもホテルとマンションが一体化した建物の建設構想があったり、新潟伊勢丹隣接地にマンション建設構想があったりと、市の考えとは無関係に開発構想が進んでいるのではないか。
新潟駅整備、まちづくり、都市計画に、行政の存在感が感じられない。財政が苦しいと悶えるなら、税収を増やす知恵を出したらどうかと思うのだが、それも見られない。数年後には、どうしたって駅とその周辺が変わる。ただ、稼ぎ頭になりそうな駅ビルは建ちそうもない。どうやって玄関口である駅で稼ぐか。田口一博・新潟県立大准教授と一緒に考えていきたい。…続きは本誌に