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2024年11月22日

高い就職率の県内大学 データが物語る「光と影」

2019年11月27日

97.6%に78.0%。いずれも、2019年3月に卒業した大学生の就職率だ(全国ベース)。しかも、官庁が公表しているデータである。モノサシがなぜ2つあるのか? その答えは本文に譲るとして、どうやら本県大学の就職率は結構高いらしい。だが、データを深掘りすると、高い就職率という光の中に、暗い影が伸びていることが分かる。

 

就職できなかった大学生もいるという事実

 

「新潟県の大学は、お世辞にも偏差値は高いとは言えませんが、就職率は高い。遠慮せずにもっと宣伝に使えばいいんですけどね」

 

と話すのは大手教育産業関係者。ここ数年続く「売り手市場」のおかげか、就職率が好調らしい。

 

「ITに乗り遅れている金融業界なので、これからはどうなるか分かりませんが、少なくともこれまでは、『金融、それも銀行、願わくは最大手の銀行』に就職者を出すことが新興大学の目標でした。その最大手行に初めて就職者を出した私立大があります。

 

高校や予備校、塾なら『東大〇人合格』と堂々とやります。同じように『〇×銀行何人就職』と宣伝してもいいと思うのです。ところが、特定の企業名を出して宣伝するのは憚られると思っているのか、どうも宣伝に乗り気ではない。

 

そうでなければ、大手企業が上位に来るような表を作ってホームページに載せておく。するとマスコミなどが取材をしてくれるかもしれません。『地方私大から大手企業へ』みたいに。

 

シビアな言い方になりますが、大学は学生の奪い合いをしないと生き残れないのが現実です。悪い風聞を生まず、良い評判を広めてもらう努力をすべきと思います。就職実績は、(高校生の)大学選びの要素としては小さくない。就職に関する宣伝は、絶好の材料だと思うのです」 (同)

 

大学側も手をこまねいているわけではない。図書館などに置いてある、無料で入手できる表裏1枚もののパンフレットには、就職率を“自慢”する大学もある。

 

例えば、長岡技術科学大(国立)は「就職率は98・4%で常に全国トップクラス!」と胸を張る。新潟青陵大(私立)は、文字は小さいものの「100%」の数字が躍る。

 

2019年3月に大学を卒業した「大学生の就職率」は、冒頭で記したように2つの数字がある。97・6%の方は今年5月、文科省と厚労省から発表されたもの。過去2番目に高かったという。

 

「この調査は、分子が就職者数、分母が就職希望者数で計算されます。就職を希望した大学生は76%いて、そのうち約
98%が就職できたというデータです」(民間の教育関係者)

この計算式によるものを文科省では「就職率」としている。

 

ここでまず「影」が差し込む。就職を希望しておきながら、就職できなかった大学生が2・4%いる、という事実。…続きは本誌に

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