レストランバス運営団体自己破産 新潟市との微妙な関係
2019年10月26日
前市長時代、「日本初の運行」と鳴り物入りで始まった新潟市のレストランバス。8月、その事業を運営していた一般社団法人「ピースキッチン新潟」が自己破産してしまった。その法人の設立から破綻まで、新潟市は密接に関与していたと思われる。
レストランバスは1階にキッチンが配備された2階建てのバス。本格的な食事を楽しみながら、観光スポットを巡るツアーが人気だ。その事業を新潟で企画、運営していたのが一般社団法人「ピースキッチン新潟」(新潟市中央区)。平成28(2016)年に設立された法人だが、今年8月に自己破産した。負債総額は約7千7百万円だという。
「別会社が所有するバスを使い、料理人のほかに運転手、客数は限定されているわけで、よくあんなので収益が出るものだと思っていました。新潟駅の構内にキッチンスタジオも出店していましたが、そちらの経営も芳しくなかったはず」(観光ホテルの関係者)
レストランバスの事業はこの法人の設立と同時に始まった。初年度(平成28年)は新潟市観光コンベンション協会とピースキッチン新潟による自主運行。次年度(平成29年)以降、この事業は新潟市の委託事業となり、平成29年度は2千万円、平成30年度は1千5百万円、
国の交付金に基づく市からの委託料を受け、ピースキッチン新潟が事業を展開したという。
このピースキッチン新潟の本店所在地とされたビルには新潟市の市民活動センターなど、市の関連団体が複数入居している。本店はそのビルの4階とされたが、同じフロアには同市の観光政策課がある。
ピースキッチン新潟の代表者だが、市の観光コンベンション協会の事務局次長だった人物だ。
「推測ですが、レストランバスは前市長がいかにも好みそうな事業で、自己破産したピースキッチンは、そのお好みの事業を実施するために設立されたのでは。役員の中に大手広告代理店の出身者がいますが、この人物が自身の会社で税金を使った観光事業のようなものを展開している。そのあたりからレストランバスの話も出たものではないか」(デザイン系の自営業者)
新潟市の委託事業として2年続いたレストランバスだが、今年度、新潟市とピースキッチン新潟は委託契約を結んでいない。市は別会社に委託したという。
この一件は市議会9月定例会で取り上げられた。
「今年、レストランバスの委託事業者が変更されているが、ピースキッチン側からどのような申し入れがあったのか」 (深谷成信市議)
市の農林水産部長が答弁した。
「今年度の運行については、ピースキッチン側から辞退の申し入れがあったと聞いています」
本当だろうか? 市がピースキッチン新潟の経営内容を「危なそうだ」と判断し、切ったのではないのか? とにかく市の答弁が本当なのか、法人登記の役員欄に記載された代表者の自宅を訪ねると、何とそこは、かなり以前からの空き家だった。それゆえ真相は不明だ。