新潟市議会「議員年金復活」意見書の厚かまし過ぎる中身
2019年10月26日
地方議会の議員年金が廃止されて既に8年が経過した。だが未だ新潟市では元議員の年金受給を維持するためだけに、年間1億3千万円余、累計で18憶円以上を投入し続けている。そこへ「議員の厚生年金加入を求める」という意見書が提案されようとした。実現すれば市は議員のためだけに、さらに約1億円を持ち出さねばならなくなる。「財政難の同市にあって、厚かまし過ぎる」と言わざるを得ない。
ドタキャン発生
新潟市議会の9月定例会は10月7日に最終日を迎えた。この日は午後から本会議が開催され、議員提案の決議や意見書の提出などを採決。何の騒動もなく平穏に終了した。4月の改選後、同市議会では定員の過半数を超える保守系の大会派、「翔政会」(26人)が新たに誕生。同会は中原八一市長の与党を自認している。それゆえ市議会は何となくユルくなってしまった感ありだ。
無事に終わったと思われた市議会だが、実はその最終日にちょっとした〝異変〟が発生していた。あらかじめ準備されていた「地方議会議員の厚生年金への加入を求める」と題する意見書が、土壇場で提案見送りとなった。
意見書とは、例えば「選択的夫婦別姓を制度化せよ」とか、「少人数学級の推進」など、地方議会の声を国などの政策に反映させることを目的としている。議員が提案し本会議で採択されれば、関係する大臣や衆参両院の議長、あるいは県などに提出される。
「地方議会議員の厚生年金への加入を求める意見書」の内容は後回しにするとして、市議会最終日の数日前、ある議員はこう言っていた。
「有志議員での提案になりますが、翔政会( 26 人)、民主にいがた(5人)、公明党(4人)、市民ネットにいがた(3人)が賛成に回る見込みです」
市議会の定数は51。この意見書だが、提案されれば圧倒的多数で可決、採択される見込みだった。市議会最終日の本会議は午後1時30分の開会。その日の朝9時頃でも、「意見書は予定どおり提案される」という話だった。
ところが午前10時30分頃になって、「意見書の提案は見送りになりました」という一報が伝わった。いわゆるドタキャンだ。この日採択されたのは「私立高等学校への私学助成の充実を求める」とする意見書のみ。
こちらは全会一致で可決された。地方議会議員の厚生年金への加入…」なる意見書が不発に終わったのはなぜだったのか?
議員特権は既に廃止
新潟市議の月額報酬は65万5千円。このほか121万8千300円の期末手当が年2回、6月と12月に支給される。これらを合計すると年収は1千万円超。さらに報酬とは別に政務活動費が月額15万円(会派交付分と議員交付分を合算した額)支給される。これだけでも年間180万円になる。
さすがは政令市だ。こうした額は県内の自治体では断トツで、ほかの市町村議員からは羨望の的。それもごもっともで、月額報酬が10万円台の町村議会だって、新潟市議会と同様、定例会は年4回ある。議員の仕事はどこだってそう変わるものではない。
〝超高給〟の新潟市議だが、当の現職はこんなふうに言っている。
「額面は65万5千円だけど、保険料とか何だかんだ引かれて、手取りは50万円弱です。以前は議員年金があって、そこからさらに10万円くらいの掛け金が引かれて厳しかったけど、議員年金がなくなって楽になりました。
新潟や長岡など、市議も専業でなければやっていけません。…続きは本誌に