教員と職員で支持が割れた新潟大学・次期学長選の行方
2019年09月27日
新潟大学の次期学長選考が大詰めを迎えている。8月29日に行われた教職員による意向投票では理事(国際担当)で前医学部長の牛木辰男氏(62)が4割超の支持を集め、これに同じく理事(研究担当)で元脳研究所長の高橋均氏(67)が僅差で続いた。この結果を参考にして学長選考会議が新たな学長を決めるが、意向投票の結果はあくまでも“参考”にすぎないことから、次期学長選考は予断を許さない状況だ。
意向投票でトップは前医学部長の牛木氏
新潟大学の現在の学長は医学部出身の髙橋姿氏(68)で、2014年2月1日付で学長に就任。学内には学長は最長6年を任期とする(1期目4年、2期目2年)との規定があることから、2期目の今期限りで退任する。
これを受けて次期学長選レースには当初、5氏が出馬の意向を示したが、後にそのうち2氏が出馬を辞退するなどして候補は3氏に絞り込まれた。
その3氏とは、前医学部長の牛木辰男氏、元脳研究所長の高橋均氏、前工学部長で大学院自然科学研究科長の田邊裕治氏(63)だ。
牛木氏は学長選に初出馬。高橋氏は下條文武学長が再任を果たした2011年に学長選に出馬。田邊氏は前回17年に学長選に出馬、再任を目指した現職の髙橋姿氏に敗れている。
これら3氏のうちの誰を学長にするかを学長選考会議が決めるにあたって、学内では8月29日に教職員3166人を対象とする意向投票が行われ、翌30日にその結果が公示された。
それによると、最多得票は牛木氏で821票を獲得。これに高橋均氏が712票、田邊氏が409票で続いた。
前医学部長の牛木氏は電子顕微鏡による三次元立体構造解析などの研究者、元脳研究所長の高橋氏はアルツハイマー病の研究者であり、いずれも臨床医ではないという共通点がある。
2氏と親交のある人物がいう。
「研究者というと堅物のような人を想像すると思いますが、牛木先生は明るくてユーモア溢れる人。また高橋先生は優しい性格の人ですよ」(ある経済人)
これに対して、東京商船大工学部出身の田邊氏はもともと船舶分野の研究者だという。
関係筋が話す。
「田邊さんは工学部内でも大学改革に熱心な人物として知られています」 (学内関係者)
3氏いずれも研究者というわけだが、研究畑一筋に歩んできた人が大学経営を担えるのかどうか疑問も残る。
しかしながら別の関係筋はこう話す。
「たしかに研究者がいきなり大学経営に携わるのは難しい。だから牛木先生も田邊先生も自ら志願して、次世代の学長を育成するためのトレーニングコースを履修済みです」(別の学内関係者)
最近は大学の学長候補も経営学を習得するために〝予備校〟に通うらしい。
事務職員および看護師と教員の間に「ねじれ現象」
意向投票管理委員会は前出の投票結果と併せて、「常勤役員および常勤教員」と「常勤職員」とに分けた票数の内訳も明らかにしている。
関係筋が説明する。
「常勤役員および常勤教員が投じた票数は牛木氏が260票、高橋氏が309票、田邊氏が225票です。この常勤役員および常勤教員というのは、教授や准教授など大学スタッフたちを指します。彼らから最も支持されたのが高橋氏で、牛木氏よりも高橋氏が49票多く獲得しました。
一方、常勤職員とは事務職員や看護師、技術者らのことで、これについては牛木氏が561票、高橋氏が403票で、牛木氏が高橋氏よりも158票多く獲得したのです」(学内関係者)
つまり牛木氏が事務職員や看護師らから支持を集めたのに対し、高橋氏は大学教員から支持を集めたというわけだ。…続きは本誌に