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2024年11月21日

塚田落選で2030冬季五輪「新潟・札幌共催」お蔵入り⁉

2019年08月27日

7月の参院選で3選を目指した自民の塚田一郎は落選した。塚田が先鞭をつけたのが「冬季五輪の新潟招致」。これが「札幌・新潟共催による2030年冬季五輪の実現」に進化していた。だがその構想を公表する前にコケてしまった。塚田の落選によって各種のプロジェクトが足踏み状態となり、本県の拠点性向上が失速する事態が懸念される(敬称略)。

 

災害でデビュー

 

今さら言うまでもないが、7月の参院選で自民の塚田一郎は敗れた。野党連合に担がれた無名の新人、打越さくらの得票は約52 万2千、3選を目指した塚田のそれは47万9千。得票率では打越が塚田を4・1%上回った。打越は新潟市の全8区で完勝。そのほか長岡、上越などでも塚田の得票は伸びなかった。

 

衆議院の選挙区単位でも、塚田が打越を上回ったところは皆無。中でも1区、4区で塚田の得票率は45%を割り込み、5区では45%の前半台にとどまった。結局、4月の「忖度発言」が尾を引き、塚田は国交副大臣や自民の県連会長を辞任。そして3選を果たすことなく落選した。同党にとっては県内で選挙区選出の参院議員を失うという、前代未聞の事態だ。

 

「『忖度発言』の塚田一郎に新潟県民〝良識のレッドカード〟」。参院選の結果をそう伝えたメディアもある。投票日の直前、「週刊新潮」で秘書へのパワハラ、暴行を報じられたのが1区の石﨑徹衆院議員。同議員を〝戦犯〟とする声も未だ根強い。塚田の落選が「良識の結果」、「戦犯のせい」かはともかく、やはり本県にとってマイナス効果は否めない。

 

塚田の初当選は平成19(2007)年7月のこと。選挙の期間中に発生したのが中越沖地震だった。塚田は選挙運動そっちのけで、被災地の柏崎市に入ったという。この地震からの復旧、復興が国会議員となった塚田の初仕事だった。

 

当時、塚田は被災者生活再建支援法に基づく制度の改正に努めたという。同法は平成7(1995)年に発生した阪神淡路大震災をきっかけに、その3年後に成立した。それまで自然災害で住宅を失った被災者に公的な補償は実施されなかった。これを可能にした同法だが、当初の制度は規制も厳しく、手続きも複雑だったという。

 

塚田が当選した年の法改正によって制度が大幅に改善され、住宅再建を望む被災者にとって、より使い勝手のいい制度になった。今回の参院選でも、その直前、6月18日に「新潟・山形地震」が発生。災害との因縁浅からぬ塚田は「国土強靭化」を訴えていたが、「大敗」とも言える結果だった。

 

拉致、錦鯉、世界遺産は…

 

塚田一郎にとって拉致被害者の横田めぐみさんは新潟市立寄居中学の1年後輩にあたる。拉致議連の事務局長を務めた塚田だが、参院選の公示日前(6月27日)、こう語っていた。「拉致問題は私のライフワーク。当時、私自身もめぐみさんと同じ通学路を通っていたわけです。大げさな言い方になりますが、拉致問題は私にとって運命的な使命だと考えて取り組んでいます」

 

同じく塚田が事務局長を務めたのが、ニシキゴイの「国魚」への指定を目指す「錦鯉文化産業振興議員連盟」(会長・浜田靖一元防衛相)。ニシキゴイの振興に尽力したのが元山古志村の村長で、2年前に亡くなった長島忠美衆院議員だった。同議連はその遺志を継ぎ、今年2月に設立された。

 

錦鯉議連の顧問には麻生太郎副総理兼財務相、自民党の二階俊博幹事長らが名を連ね、幹事長代理には同党の厚生労働部会長、小泉進次郎衆院議員が就任している。参院選では
塚田の応援に進次郎議員が来県。ニシキゴイの本場、小千谷で同議員の街頭演説が行われた。会場にはニシキゴイ振興の関係者も多数つめかけ、「国魚」へ向けた期待の高さが感じられた。

 

「いまニシキゴイは世界的なブームです。その発祥の地は新潟ですから、ニシキゴイの振興は新潟のPRや活性化、インバウンドや交流人口の拡大にもつながります。クール・ジャパン戦略の一環として、来年の東京五輪で世界に向け、大いにニシキゴイを発信すべく、議連として鈴木俊一五輪相とクール・ジャパンの平井卓也担当相へも要望に行っています」 (同)

 

塚田自身が会長を務めたのが、「『佐渡金銀山』世界遺産登録推進議員連盟」だった。

 

国の文化審議会は昨年7月、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産の国内推薦候補に選定。「佐渡金銀山」は4年連続で選外となったものの、「縄文遺跡群に次ぐ案件」というお墨付きを得た。

 

世界遺産を認定するユネスコのルールが変わり、一国から自然遺産か文化遺産か、どちらか一件しか推薦候補を上げることができなくなっている。今年度、自然遺産を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の推薦が既に決まっている。佐渡はこの次の候補になる公算大だ。…続きは本誌に

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