県内「流通大戦争」勃発! ー価格競争激化、新業態続出の裏でー
2019年07月26日
県内で店舗展開するスーパー同士の競争が激化の一途をたどっている。原信やウオロクなどの地元資本はこれまで極端な価格競争を回避してきたが、ここへ来て県外資本が激安店を相次いで投入、全面戦争を仕掛けてきたからだ。そこで本誌では、県内流通市場の動向に詳しい3人の識者・市民に集まっていただき、匿名の緊急座談会を開いた。これを読めば当該店に買い物に行きたくなること請け合いかも!?
【座談会メンバー】
A氏・アパレル業界関係者
B・流通業界関係者
C・サービス業女性役員
司会=本誌デスク
納豆39円、牛肉グラム130円の激安店「ラ・ムー」
デスク ちょうど半年前の本誌2月号誌面で、新潟三越閉店の余波について座談会を開かせていただき、その際にも本日ご出席のお三方にお集まりいただきました。
あのときは随分とディープな情報が満載でしたが、今回は市民の台所といわれているスーパーにスポットを当てたいと思います。Bさんから話の口火を切ってもらえますか?
B 県内で店舗展開している地元スーパー2強といえば、原信とウオロクを思い浮かべる人たちが多いのではないかと思います。県内全域で店舗展開している原信に対して、ウオロクは上越には店を構えていませんし、長岡に初めて進出したのも2003年と比較的最近のことです。
これは一種のすみ分けともいえ、実際のところこの2社はこれまでお互いにあまり近いところには店をつくらないようにして、いわば共存共栄を図ってきた印象です。
A 新潟市中央区などではお互いの店舗の商圏が完全にバッティングするところもありますが、基本的には両者ともにあまり無茶な競争は避けてきた印象がありますよね。
過去には原信吉田店とウオロク吉田店が至近距離で安売り競争をした“吉田戦争”がありましたが、全面戦争になったのはあの一件だけではないでしょうか。
B 徹底的に喧嘩をしないのは新潟の県民性がそうさせているのだと思います。しかし地元資本のスーパー同士が共存共栄を図ろうとしているのとは裏腹に、ここへ来て県外資本が県内流通市場に相次いで宣戦布告しています。
デスク 県外資本の具体的な名前は?
B ラ・ムー、ダイレックス、クスリのアオキといったところでしょうか。クスリのアオキは基本的にはドラッグストアですが、一部の店舗はすでにドラッグストアの範疇を越えた新業態に転換しています。その話は後ほど詳しくさせていただきます。
C ラ・ムーについては前回の座談会でBさんが触れていたので、私も興味を持って後日、ラ・ムー長岡愛宕店に行ってみました。岡山の大黒天物産という会社が経営している24時間営業のディスカウントスーパーとのことですが、その激安ぶりには驚きました。
Bさんがおっしゃるとおり納豆が39円で売られていましたし、オーストラリア産のステーキ用牛肉が100㌘当たり130円という安さですからね。
ほかにもお弁当が198円、海鮮丼が298円、お刺身の盛り合わせが298円といった具合に、評判に違わぬ安さでした。
ただし主婦目線で言わせていただきますと、ステーキ用牛肉にしても鮮魚にしても安いなりの品質で、それなりのお味ですから、舌の肥えた人には向きませんね。
ラ・ムーは中学生や高校生の食べ盛りのお子さんがいる家庭など、安く大量に買いたいというニーズを満たすにはうってつけのお店だと思います。
精肉と鮮魚を売り始めたクスリのアオキ
A 私も視察がてらラ・ムー燕吉田店に買い物に行ってきました。県内では現状、長岡愛宕店と燕吉田店の2店舗が営業しているみたいですね。
B そのとおりです。会社としては数年前に新潟市にも出店したいとの意向があったようですが、実現しませんでした。
A 実際に来店してみて、破格の安さに仰天しましたが、それと同時に驚いたのが納豆や豆腐をはじめとする日配品がことごとく自社ブランドになっている点です。
B 食品メーカーにOEM(相手先ブランド製造)で作らせ、ディープライスという自社ブランドで販売しているのです。
原信やウオロクが全国220社のスーパーが参画するCGCグループに加盟して、商品の共同開発・製造によってコストダウンを図っているのに対し、大黒天物産は1社単独で激安商品を開発・製造している点が脅威です。
一方で原信は自社ブランドの納豆を68円で売っています。これも相当に安いのですが、ラ・ムーで売られているディープライスの39円には安さにおいて遠くおよびません。
ただしラ・ムーでも日によって同じ納豆が49円で売られていることもあります。これはおそらく輸送費高騰の影響だと思います。
デスク 先ほどAさんが“吉田戦争”とお話しになられましたが、かつて原信とウオロクが激しくやり合った燕地区にラ・ムーが参戦したというわけですね。…続きは本誌に