様変わりの大学入試 本県受験生にとって狭き門となった私立大
2019年06月27日
ここ3、4年で私立大は狭き門になったデータを本誌先月号で示した。かつての“滑り止め”は滑り止めにあらず。しかも来年は大学入試センター試験の最終年。「浪人回避」は必至と見られ、私大の難易度はさらに高まりそうだ。いまはまだ、目の前の授業と並行して受験勉強が優先だろう。“その時”が来たら、先輩らの併願戦略を参考に、悔いのない受験体制を整えて欲しい。
もはや中堅ではない
昭和後期から平成初期の大学受験用語に、「日東駒専」(日本、東洋、駒沢、専修の各私大)は一般的だったが、「MARCH」(明治、青山学院、立教、中央、法政の各私大)は今ほどに浸透はしていなかった。
「受験生の間でも、日東駒専の『東』は、東洋なのか東海なのかすらよく分かっていなかった時代」(40代後半の大卒サラリーマン)
MARCHとは言わず、「六大学」「東都大学」と分けていた記憶もあるという。
「六大学、東都大学は大学野球のリーグ名です。東京大、早稲田大、慶応義塾大、明治大、立教大、法政大で六大学リーグが行われています。いずれも当時から超優秀な大学な上に、野球でも早慶戦が一大イベントとして定着していたことなどから、いずれの大学も受験生からの人気が高かった。
一方で東都には、日東駒専のほかMARCHから青山学院、中央が所属しています。全部で21大学が加盟しており、四部制のリーグです。中には東京工業大、一橋大、上智大といった超難関大の名前も。ですが、強豪がひしめき、マスコミも注目する一部リーグに難関大はいなく、かつてはなぜか六大学の下みたいな扱いでした。
東工大や一橋大、上智大などが東都所属だということを知らない人が一般的だったのでしょう。しかも、中大法学部はともかく、青山学院も当時は今ほどに難関大という扱いではありませんでした。当時、六大学の各大学を記念受験する人はいても、東都の各大学を記念受験すると言っていた人はいなかったと思います。今でも六大学の各大学の方が、東都大学の各大学より偏差値ランキングではだいたい上にあります。東都の各大学は、六大学や国立大の滑り止めのように考えている人もいるでしょう」
と言って、受験産業界のある社員は続ける。
「この考えはもう捨てたほうがいいと思います。
日東駒専レベルの中堅私大は、難関大受験生からは滑り止め、地方国公立大受験生からは腕試し、非進学校受験生からチャレンジ受験など、全方位から受験生が受験します。ところが、首都圏一極集中回避を狙った私大定員厳格化により、私立大は合格者数を絞り込まざるを得なくなりました。難関私大も合格者数を絞り込むわけですから、何とかして合格したいと、難関大受験者層が中堅私大を厚く受験するようになりました。
ザックリ言うと、新潟県の受験生の平均的学力は、日東駒専の難易度と同じくらい。定員厳格化以前は、本県から日東駒専に相当数の合格者がいました。定員厳格化の影響が出たここ2、3年は激減しています。日東駒専を受けるようになった難関大受験者に太刀打ちできていないわけです、学力が。
よって、新潟県の受験生だけに言える話ではありませんが、中堅私大、特に日東駒専を受験するなら、MARCHを受験するくらいの心構えで臨んだ方がいいと思います」
これまでの常識を捨てた併願戦略が必要というわけだ。
本稿は、本誌5・6月号の大学入試特集で調査を依頼した県内の高校・中等教育学校から、同時に回答をお願いしていた併願調査をまとめたものである。「旧帝大・トップ10」に進学した者の併願先、「新潟大学」に進学した者の併願先、「早慶上理・GMARCH」に進学した者の併願先を調査項目にし、併願校の合否まで記述をお願いした。学部名が不明の場合は大学名のみ記載した。…続きは本誌に