本誌報道の家族葬拒否問題を「月刊住職」が後追いで議論白熱
2019年05月27日
本誌3月号では、新発田市の某寺住職が檀家の家族葬を拒否したとする一件を記事掲載した。この本誌報道がきっかけとなり、全国の寺院の間で宗派を超えて家族葬の是非をめぐる議論が白熱している。ここ数年、身内だけで小規模に行う家族葬が急速に増えているというが、葬儀を実質的に取り仕切る僧侶はこうした風潮をどのような目で見ているのだろうか?
専門誌「月刊住職」が本誌報道を後追い
過日、本誌編集部にある人物から記事に関する問い合わせをいただいた。
「貴誌3月号に掲載されている住職が檀家の家族葬を拒否したという記事を読んだのですが…」
本誌3月号が掲載したのは〈前代未聞! 檀家の家族葬を拒否した新発田市の真宗大谷派・某寺住職〉と題する記事。
取材・執筆を担当した記者が折り返し連絡すると、電話に出たのは女性で、彼女は以下のように名乗った。
「『月刊住職』の編集記者を担当している○○と申します」
世の中には本誌も含めてさまざまな雑誌があるが、「月刊住職」なる月刊誌の名は本誌記者としても初めて耳にした。その名のとおり、お寺の住職が購読する専門誌だ。
女性編集記者によれば、「月刊住職」は全国に約7万あるとされる寺院の住職の4人に1人が購読しているという。それほど広く浸透している“業界誌”が本誌報道に関心を寄せるのだから、やはり住職が檀家の家族葬を拒否した一件はただ事ではないようだ。
いずれにしても「月刊住職」というトップ専門誌に後追い報道していただくことは本誌としても大変光栄なことなので、本誌記者は女性編集記者と取材先の橋渡しをさせていただいた次第だ。
それから約1カ月後、発売された「月刊住職5月号」に掲載されたのが以下のタイトルの記事だった。
〈葬儀は家族葬でと頼む檀家に住職が縁切りを言い渡した真相〉
どことなく“財界にいがたチック”な香りを放つタイトルだが、計10頁におよぶ同記事は約200頁の「月刊住職5月号」の中でトップを飾っている。
本誌が一般読者を想定して記事を書いたのに対し、「月刊住職」は当然ながら主な購読者である住職の目線で記事を書いている。
以下のリード文からも、全国の住職に広く問題提起しようという編集コンセプトが強く感じられる。
〈檀家に親は家族葬にしたいと頼まれたら、断るか、認めるか、考えを変えさせるか、住職の対応次第で、檀家との関係は決まる。事実、事件が起きた。家族葬を断られた檀家が「お寺に縁切りされる」と受け止めたからだ。〉
記事は本誌「財界にいがた」の第一報を引用するなどして前代未聞の“事件”を伝えている。
それでは本誌3月号が報じたその“事件”について簡単におさらいしておこう。
新発田市に住む60代男性A氏が菩提寺である真宗大谷派のS寺・住職に「現在88歳の母がもしも亡くなったら、そのときには内々で葬儀を挙げたい」と願い出たところ、住職は「内々で葬儀をやるのは構わないが、それならお布施も何もいらない。これでオタクとうちの寺は縁切りだ」と発言。
これに納得のいかないA氏は知り合いの弁護士や別の真宗大谷派寺院、真宗大谷派の本山(東本願寺)と県内462カ所のお寺との窓口となっている三条教務所の教務所長らに相談した。…続きは本誌に