「積算誤り」文書に漂う新潟市役所の傲慢不遜
2019年05月27日
新潟市の入札に関連し、予定価格の積算誤りが発生。そのミスゆえに、複数の入札で本来なら落札できたはずの業者が受注を逃す事態となった。市側は文書で事態を公表したものの、その中身に「申し訳ありませんでした」の一言もなし。積算誤りそのものより、文書に表れた役所の傲慢なる態度が不評判となっている。
〝被害額〟は1億2千万円余
年度も押し詰まった3月28日のこと。新潟市の公共建築第1課と同第2課は連名で別掲の文書を公開した。同市の施設でも、学校や生涯学習施設、体育施設の建築・改修を2課が、これら以外を1課が担当するのだとか。
「建設工事に係る積算誤りついて」とする文書によれば、公共建築1課、2課が設計、積算、発注した建築工事で、予定価格(入札で落札可能となる上限の額)の積算を誤ったものが7件あった。1件は予定価格を過大に、逆に6件は過小に積算してしまっていたという。いずれの場合も誤った予定価格のまま入札を行い、落札業者と契約して工事も完了した。
仮に正しい予定価格で入札が行われていた場合、別の業者が落札していた事態も考えられる。公共建築1課、2課で予定価格の積算を誤った7件中、〈他の入札参加者が受注する可能性があった〉のは4件。同課では〈受注する可能性があった入札参加者に説明とお詫びを行った〉という。
といって工事は既に完了している。今さら「受注する可能性があった入札参加者」と契約し直すこともできない。公共建築1課、2課による文書には、〈当該工事の受注者には、契約書に基づき工事代金を支払う〉とあった。
気の毒なのは役所側のミスで工事を受注しそこねた業者らだ。この文書には資料も添付されていた。〈他の入札参加者が受注する可能性があった〉とされた工事は、予定価格(正しく積算された額)で1千100万円から7千600万円ほど。
添付された資料には、市の積算ミスで落札業者が変わってしまった入札の結果も紹介されている(別掲)。こうした資料によれば、工事を取りそこなった〝被害者と被害額〟は以下のよう。五十嵐建設( 西区、1千50万円)、野中組(東区、2千40万円)、福田組(中央区、7千95万円)。
そのほか予定価格が過小に積算された入札で、これより上の額で応札した5者が超過扱いにされてしまったものもあった(〝被害者〟は省略)。予定価格に誤りがなかった場合、これら5者による再入札が行われ、5者のうちどこかが落札したはず。この工事の予定価格(正しく積算された額)は2千196万円。〝逃した魚〟は大きい。前出の3件と合計すると〝被害額〟は1億2千381万円になる。
かつては2億7千万円がフイに
業者の利害に直結する役所の不手際なのだから評判は悪い。新潟市の入札とは無縁の食品関連の社長はこう言う。
「バリバリの人為ミスですね。業者側は生きるか死ぬかの仕事をしているわけです。謝れば済むって話でしょうか?」
実際に入札に参加している建設関連会社の社長はこう言う。…続きは本誌に