「ほとんど革命」という新潟市議会 ”古泉新党”の一人勝ち
2019年05月27日
これはほとんど革命だ。4月に改選された新潟市議会で、過半数を占める保守系会派、「翔政会」が誕生した。この会派、人呼んで「古泉新党」という。これまでの会派を離脱した古泉幸一市議(江南区)が、「この指とまれ」とやった。そしたらアッという間に20人を、そして過半数を超えた。強引な暴力革命ではなく、今までの悪弊に嫌気がさした市議らを中心とする、穏やかなクーデターみたいなものだった。
スマート議会誕生
月刊誌ゆえの都合から、以下は実際のところを確認した上ではなく、あくまで直前段階で推測の域を出ない話だ。
4月に行われた改選後、初の議会となる新潟市議会の臨時会が5月21日に始まった。ここで新しい議長に佐藤豊美市議(東区、翔政会、当選8回)が、副議長に佐藤誠市議(東区、新潟市公明党、当選4回)がそれぞれ選出された…はず。
議長が佐藤豊美市議に決まったとすれば、新潟市が政令市に移行する前の2005(平成17)以来、2回目のことだ。臨時会の直前情報によれば、当日よほどの事態でも発生しない限り、「東区の佐藤市議」がダブルで議長、副議長になることは確実だった。
これまで新潟市議会では議長や副議長のポストをめぐり、権謀術数が渦巻いた。ポスト争いをめぐる対立に端を発し、保守系会派が分裂、議員同士がいがみ合う…、そんな姿が同市議会の〝名物〟でもあった。「以前は議長や副議長だけでなく、委員長など議会内の人事で深夜まで議会が続くこともありました。今回、そんなことはありませんよ。職員も定時で帰れるはずです」(保守系の市議)
ヤンチャだった新潟市議会が、やけに良い子になってしまった! ここ10年ほどの間、議長は「この人なら」という人物より、なりたい意欲ギラギラだったりする市議が就任していた。まあ全員とは言わないが。副議長は、保守系の大会派と野党系少数会派による〝談合・野合〟で決まっていた。今回だって同じじゃないのか?
「議長候補の佐藤豊美さんにギラついたポストへの欲なんかありませんよ。むしろその逆。議長になってしかるべきほかの議員を気づかっていた。当選回数などから議長候補となる人が何人かいたわけです。それが豊美さんになったのは、主に当選回数が2回、3回と
いう若手が会合を持ち、全会一致で豊美さんと決めたからです。
当選回数が4回以上になってくると、議長候補の対象になる。だからまず2回、3回の議員に話し合ってもらった。今まで議長を決める会なんかやったことがないですから、皆さん新鮮だったようです。とことん話し合って議長候補を決めることができてよかったと思います」(翔政会所属の市議)
では副議長はどうだ? 今までは「お前に副議長をやるから、俺っちが議長になるのに協力してくんな」ってな調子で、少数会派が抱き込まれ、あるいは進んで協力し、副議長のポストをあてがわれていたじゃないか。
「今回、新潟市議会では26人の保守系大会派、『翔政会』が誕生しました。市議会の定数は51人ですから、その過半数を占めているわけです。議長は翔政会から出しましたが、過半数を占めるからといって副議長まで同じ会派から出し、独善的だと思われるのはいか
がなものかとなったのです。
翔政会でリードしつつも、人事も含めほかの会派と一緒にやっていきたいという意向から、副議長候補は出さないということです」 (同)
自民党が過半数を超える県議会では、議長、副議長などは同党の独占だ。新潟市議会は何とスマートになったことか…。…続きは本誌に