ウソでしょ! 湯沢に10万円の”リゾマン”続出!
2019年05月27日
インバウンド効果もあって、注目度がアップしている越後湯沢。バブル期に建設されたリゾートマンションが林立する。そんなマンションが10万円台から売りに出ている。「値段は格安でも、恐ろしい額の管理費滞納分が付いているのでは…」と思いたくなる。だがそうではない。リーズナブルな中古のリゾートマンションが人気で、一部に「民泊」として活用するスタイルも登場している。
10万円リゾマン続々
越後湯沢や南魚沼の観光、グルメ情報を主体とするフリーペーパー『VITA湯沢』には、地元にあるリゾートマンションの物件情報が掲載されている。俄然目を引くのが10万円台という超低価格のリゾートマンション(リゾマン)だ。例えば以下のよう。
「ピステ湯沢」(岩いわっぱら原、5階、3LDK、15・67坪、月額管理費等2万4千900円)80万円、
「シェスタ苗場」(苗場、13階、1LDK、11・34坪、月額管理費等1万8千10円)35万円、
「ファミールヴィラ苗場」(苗場、8階、15・88坪、月額管理費等3万985円)10万円、
「西武ヴィラ苗場6号館」(苗場、12階、1LDK、16・02坪、月額管理費等1万6千800円)10万円等々。
このフリーペーパーを手がけているのが不動産会社の「ひまわり」(南魚沼郡湯沢町)。同社の情報誌(『ひまわり通信』43号、2019年4月)には、苗場地区を中心とする10万円のリゾートマンションが60件以上も紹介されている。
高速道や新幹線で湯沢を通過する際に目に留まる32階建ての高層リゾートマンション「ビクトリア・タワー湯沢」でも、45万円の物件がある(5階、1K、9・09坪、月額管理費等2万1千580円)。
「10万円どころか、湯沢のリゾートマンションが1万円で買える」。そんな話は珍しくもなかった。湯沢町や南魚沼市は新潟地裁長岡支部の管轄区域。同支部の不動産競売物件には、「売却基準価額1万円」のリゾートマンションが目白押しだ。
90年代の初頭にバブルが崩壊。その後のリーマンショックやら何だかんだで、マンションの管理費等、あるいは固定資産税等の滞納が顕在化。かくしてリゾートマンションが競売となるケースが続出した。
仮にマンションの評価額が100万円として、なぜ裁判所の競売で、「売却基準価額1万円」となってしまうのか?
答えは簡単で、管理費等の滞納分があるからだ。マンションの場合、こうした滞納があれば競売物件の評価書に明記されている。
仮に月額の管理費等が2万円として、これらを10年間滞納すれば240万円。評価が100万円でも滞納分が240万円あれば価格はマイナスになってしまうはず。だが競売物件でマイナスの設定はできないので、最低価格の「1万円」という売却基準価額になる。
競売によって1万円で落札したとしても、新しい所有者は滞納分240万円という負債を抱え込むことになる。それゆえこうした物件は忌避されがちだ。長岡市のある不動産業者は、驚きの物件に遭遇したことがあるという。
「湯沢のリゾートマンションだが、ワンフロア、10数室分が競売に出たことがあった。もちろん売却基準価額は1万円。昭和61年から平成29年まで、32年間の管理費等の滞納分が、何と2億9千100万円。未だかつてこんな滞納額、見たことがない」
「隠れ滞納分」なし
では売り出されている10万円台のリゾートマンションにも管理費等の滞納分が隠されているのだろうか? 驚きの物件に遭遇した前出の不動産業者はこう言う。
「これは競売ではないからそんなことない。2億9千100万円の滞納があったリゾートマンションも、1万円で不動産会社が落札し
た。新しくオーナーとなった不動産会社が滞納分2億9千100万円をすべて支払うかといえばそうではない。マンション管理組合との協議で、滞納分を限りなく圧縮するか、チャラにするかしたはず。そうでないと競売など成立しない」この不動産業者によれば、「リゾートマンションの管理組合自身が競売物件を落札しているケースが目立つ」という。…続きは本誌に