『伝染性膿痂疹(とびひ)』
2019年05月27日
■医師データ
産業医科大学卒。千葉徳洲会病院でローテート研修2年。産業医大病院、JCHO(旧九州厚生年金病院)、新潟労災病院を経て開業。
夏に向けて増えてくる皮膚病が伝染性膿痂疹(とびひ)だ。この皮膚病の罹患者はほとんどが子供だが、稀に大人がかかるこ
ともあるとか。今回はこの時季に気をつけたい、伝染性膿痂疹(とびひ)を取り上げる。解説はセンター前ヒフ科の稲晃市郎院長にお願いした。
「伝染性膿痂疹(以下とびひ)は夏に向けて増えてくる皮膚病で、主に子供がかかる病気です。皮膚が水ぶくれのような状態になり、痛みとかゆみを伴います。その水ぶくれが、火事の火の粉が“飛び火”するように体のあちこちに広がっていくので、とびひと呼ばれています。
とびひは細菌による感染症です。皮膚の小さな傷や湿疹・虫さされのかきこわしなどから細菌(主に黄色ブドウ球菌)が入り込
み、感染することで発症します。感染すると細菌が皮膚をこわす毒素を放出するので、皮膚が水ぶくれやびらん状態になり、痛みやかゆみが起きます。
とびひの厄介なところは、血管に入り込んだ毒素が血流にのって体のあちこちに行き、いたるところで皮膚をこわすことです。それにより、水ぶくれやびらんが体のあちこちにできていきます。
治療ですが、毒素が血流にのって悪化していく皮膚病ですので、ぬり薬などの局所治療では完治しません。したがって、抗生物質を服用して根本的に治していくということになります。…続きは本誌に