本誌記者が色めき立った”新潟三越”追突事件が裁判沙汰に!
2019年04月26日
2020年3月をもって閉店することを発表した新潟三越。市民の間から老舗百貨店との別れを惜しむ声が聞かれる中、本誌記者は“ 新潟三越” の名前を冠した会社が損害賠償を求めて裁判を起こしている事実を掴んだ。そして取材を進めると、この“ 新潟三越” をめぐって文字どおり想定外の事実が浮かび上がってきたのだった。
係争中のもうひとつの〝新潟三越〟
本誌記者は過日、新潟地裁で以下のような民事裁判が係争中であることを確認した。
平成30 年(ワ)第490号原告 有限会社新潟三越イベント組合 代表取締役S(※個人名)
被告 A社および従業員E(同)
新潟三越イベント組合なる有限会社の存在は知らなくても、新潟県民であれば「新潟三越」の4文字にすぐさま目を引かれるのではないだろうか。
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は昨年9月末、業績不振を理由に2020年3月に新潟三越を閉店すると発表。「小林百貨店」の看板を掲げていた当時を含めると、80年以上にわたって親しまれてきた老舗百貨店だけにショックを受けた市民は少なくないはずだ。
そんな最中に新潟地裁で「新潟三越」の名前を目にした記者がそれをスルーするはずもない。事件番号を書き留めて、どのような紛争が起きているのか確認すべく裁判書類を閲覧することにした。
参考までに記すと、民事裁判の事件番号や原告、被告の名前さえ把握していれば、市民は誰でも裁判所類を閲覧することができる。費用は印紙代150円のみで、印紙はあらかじめ用意しておく必要がある。このほか運転免許証や健康保険証など身分を証明するものが必要だ。
果たして新潟三越イベント組合とは、いかなる会社なのか?
そもそも有限会社にもかかわらず組合を名乗っている点もナゾだが、もしかしたら百貨店業界にはそのような独特の組織が存在するのかもしれない。
ある会社社長がいう。
「新潟三越イベント組合という会社は知りませんが、新潟三越の7階には催物会場があって、全国各地の物産展などさまざまなイベントを開催していますからね。それらの催事を取り仕切る組合ないし会社ということではないでしょうか」(アパレル業界関係者)
7階の催物会場を取り仕切る運営主体がすなわちイベント組合との推測は、いかにも的を射ていそうだ。
一方、有限会社だということなので、記者は法務局に出向いて同社の登記簿謄本を取り寄せることにした。
法務局を訪れたことのある人ならご存じかと思うが、商業登記簿謄本を取り寄せるためには申請書類に必要事項を記して窓口に提出する方法と、タッチパネル式のコンピューターで会社法人等番号や商号を入力して対象法人を指定する方法の2通りがある。
記者は当然ながら会社法人等番号を知らないので、タッチパネルで「ニイガタミツコシ」と入力して検索したところ、以下の2法人が画面に現れた。
・株式会社新潟三越伊勢丹
・有限会社新潟三越イベント組合
本社所在地は前者が新潟市中央区で、後者が五泉市。「新潟三越」を冠する会社はこの2法人のみだ。
ぶつけた加害者が「相手に損害はない!」
さて、本題である裁判の件だが、端的にいうと新潟三越イベント組合の代表取締役を務めるS氏が被告のE氏と勤務先の会社に対して186万円余りの損害賠償を求めた訴訟だ。
被告のE氏は名古屋市に本社を置く運送会社の社員であり、訴状によると、2017年4月14日午後11時23分頃、E氏の運転する事業用大型貨物自動車が路上に停車していたS氏の自家用準中型貨物自動車に追突し、S氏の車は全損。
この事故により、S氏が代表取締役を務める新潟三越イベント組合は代車料90万円のほか、車載していた調理器などが使い物にならなくなり、計186万円余りの損害を受けたという。
訴状には原告S氏の職種が以下のように記されている。…続きは本誌に