新潟市議選中央区 最下位当選、深谷成信の”臨死体験”
2019年04月26日
11の定数に対し20人が立候補した中央区市議選。最下位で当選した深谷成信市議(無所属)と、次点に泣いた野本孝子前市議(共産党)の差は僅か121票。政治の世界は落選すればタダの人。わずかな違いが生死を分ける結果となった。辛うじてこの世にとどまった深谷市議だが、支持者を前にいったん敗北宣言するという〝臨死体験〟を味わった(敬称略)。
熾烈なサバイバル戦
中央区の市議選はいつも競争率が高い。前々回は定数12に対し立候補者が20人、前回が定数11に対し16人、今回は同じ定数に20人だった。
前回1万票超でトップ当選したのが、5年前の市長選に出馬した吉田孝志。今回も市長選から市議会にカムバックした吉田の大量得票が予想された。そのほか上位当選が見込まれたのは西村智奈美衆院議員の元秘書で、新人の高橋聡子(立憲)。果たして吉田は約1万票、高橋は5千2百票近くを獲得した。
改選前、中央区で1議席だった共産党と公明党だが、競い合うかの如くそれぞれ二人を擁立。前者は現職と新人、後者は同区の現職に加え、東区の現職を〝国替え〟して投入。選挙はまさにサバイバル戦になった。
注目は「当落線上にある」と目された面々で、〝有力候補〟の一人が深谷成信だった。3期目を目指した深谷は前々回、最下位で初当選。前回は下から3番目だった。中国総領事館移転反対の活動から市議に転じた深谷だが、大政党やメジャー企業など、有力な支持団体を持たない。
生まれは埼玉県で、「同級生や同窓生、地縁・血縁はほとんどない」と言っていい。「前回より支持者の名簿は多く集まっているらしい」といった話があるにはあった。だがどれほどの票を獲得できるのか多分に未知数。前市長には批判的、昨年の市長選では吉田孝志の支持に回った深谷に、中原八一市長サイドからの支援など望めるはずもなかった。そして開票の日を迎えた。
敗北宣言の記憶なし
開票作業が進むにつれ当確情報が流れ始めた。だが予想どおりその中に深谷の名は見当たらず。同区の定数は11だが、ついに10番目まで決まり、残りの議席はあと一つ。
中央区の開票所は新潟市体育館だった。ここに深谷陣営の関係者も詰めていて、「深谷票」の束が積まれていく様子などをチェックしていた。最後の1議席を深谷と争っていたのが共産党の現職で、同じく3選を目指した野本孝子だった。深谷選対の関係者が言う。
「双眼鏡で開票の状況をのぞいていたんです。票は5百ごとの束になって積まれていくわけですけど、深谷さんと野本さんは4束、すなわち2千票くらいまで同じ。その後に野本さんの票の束がボンと積まれ、さらに端数の束も積まれました。ところが深谷さんの方は4束で止まったままの状態だったんです。それでもうだめだと思い、開票所から帰ってきました」
選挙管理委員会の記録によれば、中央区の開票作業が終わったのは23時48分。深谷の選対関係者が新潟市体育館を後にしたのが23時30分頃だったという。深谷の選対関係者は「残念ながら12番目の次点で落選」と判断した。
深谷が開票を待ったのは「ピアBandai」の道路を挟んだ反対側にある事務所。1階には数十人の支持者が吉報を待ち、深谷本人は2階にいたという。開票所の情報が深谷に伝えられた。…続きは本誌に