難聴〜聞こえの改善であなたの世界が変わります〜
2019年03月27日
■医師データ
新潟大学医学部大学院卒。ドイツ・ウルム大学留学、富山医科薬科大学(現富山大学)助教授などを経て’82年に開業。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。新潟県耳鼻科医会会長などを歴任。
耳が聞こえづらくなると生活の質が低下するだけでなく、様々な疾患や身近な危険と関係することが知られてきた。そこで今回は、難聴の原因や対策などを取り上げる。解説は大野耳鼻咽喉科医院の大野吉昭院長にお願いした。
「難聴の原因は様々ありますが、一番多いのは加齢によるものです。他には耳の奥に水がたまる滲出性中耳炎や、耳垢がたまり外耳道を閉塞して難聴を引き起こすこともあります。
滲出性中耳炎であれば、耳鼻科で水を抜く治療を行えば聞こえの改善が期待できます。耳鼻科専門医の診察を受けてください。
また、耳垢がたまってつまることで起こる難聴も、その耳垢を取り除けば聞こえの改善が期待できます。ただし、ご自身や家族などが取ろうとすると、逆に奥へ、奥へと押し込んでしまい、かえってつまらせてしまう恐れがありますので、たまった耳垢の除去も専門医の検査と治療を受けることが望ましいです。
これらは治療で聞こえの改善が期待できる難聴ですが、加齢性難聴は治療で改善するということが困難ですので、補聴器などでの対策が必要になってきます。
加齢性難聴は、個人差はありますが、60歳~70歳くらいで聞こえが悪くなってくる人が多いようです。聞こえは徐々に悪くなっていきますので、自分では気づかないうちに進行しているかもしれません。『最近、聞き返しが多くなった』、『テレビのボリュームが大きくなっている』など、家族や周りの人が気付くケースもあります。
加齢性難聴ですが、軽度、中等度、重度に分けられます。軽度は、ひそひそ話が聞き取れないくらいの状態です。中等度は、普通の会話が聞き取りにくかったり、聞き間違えたりします。重度は耳元で大きな声でしゃべらないと、なかなかコミュニケーションが取れない状態です。
補聴器を考えるタイミングは中等度くらいからです。その際は耳鼻科専門医に相談することが望ましいです。と言うのも、…続きは本誌に