長岡三島県議選 誰も星野に鈴をつけられなかった自民
2019年03月27日
3月20日、長岡市の官製談合事件をめぐる初公判が新潟地裁で行われた。この事件で秘書が逮捕された自民党県連の重鎮、星野伊佐夫県議だが、自身が罪に問われることはなかった。だが初公判は事件の背後に同県議の存在があったことを印象付けるものとなった。やはり党として何らかのけじめを付けておくべきではなかったのか…。
長岡市が発注する下水道工事を巡り、発注側の価格を漏らしたとして、1月に自民党の星野伊佐夫県議(長岡市・三島郡)の秘書や元市の工事検査監、市内にある建設業者の社員らが逮捕された。その後、2月に入って市役所のナンバー4とされる地域政策監も逮捕された。
長岡市の官製談合事件は同市ばかりではなく、県の政界全体を揺るがす一大事件になった。統一地方選の直前に発覚した事件だっただけに、野党は自民への攻撃材料として抜け目なく利用している。
3月に新潟市西区内で配布された共産党系のチラシに、自由党の森裕子参院議員がこう書いていた。
〈官製談合事件など一部の人だけが得をするような政治行政を変えるため…〉
連続11期当選の星野県議は自民党県連の会長も務めた県政会の重鎮だ。同県議は事件への関与について、本誌にこう述べていた。
「まったくありません。取り調べも受けたことはありません」
事件が発覚した直後、ベテランの自民党県議はこう語った。
「我々の仕事は自身の選挙区に予算を持って来ることだ。だが、そっから先は知らない」
「そっから先」とは業者選定のことで、暗に星野県議と逮捕された秘書が業者選定にまで関わっているかのような言い回しだ。一連の捜査が終了した頃、ある自民党の国会議員秘書がこう言っていた。
「やはり事件に直接関与はしていないとしても、星野県議の公認を取り消すか、自ら返上することを要請するなどの措置が必要ではないか。そうしないと統一地方選や参院選に影響しかねない」
長岡の地元では、逮捕された星野県議の秘書について、その秘書が意識したかどうか別として、「秘書の声は星野の声と受け止めていた」と語る建設業者もいた。同県議の公認取り消しなどの措置について、捜査が終了した頃、自民党県連の幹部はこう言った。
「現段階では推定無罪。何とも言えない」
官製談合防止法違反など起訴された市の元検査監の初公判が行われたのは3月20日。この初公判は事件の背後に星野県議の存在があったことを印象付けるものとなった。
例えば市がくじ引き防止のため入札を複雑にしたのは、星野県議からの要請を受けてのものだったという。
入札が複雑化すれば、業者側は市の価格をより知りたくなるし、そうした業者から星野県議の秘書へ、「価格を教えてほしい」という要請も多くなったものと思われる。
けっきょく自民党は誰も星野県議の首に鈴を付けることができなかった。それが同党にとって、そして同県議にとって吉と出るか凶と出るか…。