新潟県民平均年収405万円の”中身”
2019年02月27日
賃金構造基本統計調査と毎月勤労統計調査の“二大賃金統計”によれば、労働者一人当たりの平均収入(県平均)は前者が405万円、後者が350万円。なぜ55万円もの差が生じるのか。この額は全国的に見て高いのか低いのかなど、不正で揺れた統計問題も絡め、県全体の給与実態を詳らかにする。
統計不正前から賃金上がらず
記者の通っていた大学の学部には、「世論調査」という授業があった。調査のイロハと統計的手法を学び、調査対象の家に足を運び、または電話をし、回答を得てコンピュータに入力。数字を分析し、レポートにまとめたり議論したり。マスコミや調査会社等の調査で場数を踏んだこともあった。
調査直前、教授からは次のように注意された。
「誤魔化しだけはしないこと」
思うように回答が得られないからといって、自分で勝手に回答するなど不正しないようにという注意だ。
「得られた回答から予測または予想し、政策や会社経営に役立てるのが調査であり統計です。調査を誤魔化すと、予測は(反対に読んで)“クソよ”になり、予想は(同じく反対
に読んで)“ウソよ”になってしまいます」
馬券購入が禁止されている大学生の分際で競馬に手を出していた不良学生にしてみれば、予想が“ウソよ”と言われて脳の記憶細胞が異常に活発化。何十年経っても忘れない注意になった。以来、なぜか統計好きになり、「統計数字に嘘はない」だの、「数字は嘘をつかない」だのと勝手に思い込んでいた。
ところが、統計に不正があったことが分かった。政府の基幹統計に端を発したものだから大騒動に発展。「基幹」という「中心となる大事」な統計が不正なやり方で調査されたとなると、日本の実態は嘘っぱちだったということになりかねない。
報道等にあったように雇用保険の給付額などは賃金統計によって決められる。全体的に賃金が少なめだから児童手当記者の通っていた大学の学部はいくらにしよう、米の消費額が下がっているから減反しよう、ああしよう、こうしようといった政策判断に関わる統計はいくつもある。実態を歪め、政策判断を誤らせかねない誤魔化しはいけない。…続きは本誌に