『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』
2019年02月27日
■医師データ
渡邊伸。昭和大学医学部卒。同大学第一内科入局。荏原病院、昭和大学江東豊洲病院、新潟大学病院呼吸器・感染症内科勤務などを経て現職。医学博士。
病院の待合などで小型の酸素ボンベを携行し、鼻にチューブを通して酸素を送っている人を見かけたことがないだろうか。慢性閉塞性肺疾患(以下・COPD)の重症者が一番の使用率である。今回は、長期喫煙者の約20%が罹患するという統計データがある、COPDを取り上げる。解説はポートクリニック好生堂の渡邊伸副院長にお願いした。
「COPDは、たばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患で、呼吸機能検査で気流閉塞を示すと定義されています。また肺に炎症を起こすだけにとどまらず、全身性の炎症、栄養障害、心・血管疾患、骨粗しょう症、抑うつ、糖尿病など様々な併存症を誘発すると考えられています。COPDの有病率や死亡率は世界的に高いレベルであり、日本でも世界と同程度であることが証明されております。
原因はほぼ、喫煙に尽きます。統計データによると、COPDの罹患者の90%が喫煙者で、長くたばこを吸い続けている人の5人に一人が罹患するというデータがあります。
症状は慢性の咳と痰、労作時の呼吸困難(息切れ)ですが、早期では自覚症状が出現しないことが多く、見過ごされているのが現状です。低栄養や筋力の低下、骨折などがあっ
て検査をしたらCOPDであったということが多々あります。また、気道の不可逆的な障害が強く、早期診断・早期治療が必要と考えます。高齢者に多く、40歳以上で10pack─yearsの喫煙歴があり、このような症状がある人は検査が必要です。…続きは本誌に