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2024年11月21日

小中学校エアコン設置が中原市長を吹っ飛ばす⁉

2019年01月26日

「これは背任行為です」。新潟市議の一部はそこまで言い切る。こうした市議らによれば、「市内の小中学校など、157校の普通教室へエアコンを設置する事業費は約66億円。それをまともなコスト計算をしないまま、市教委の担当課は虚偽の数値により電気方式を排除し、将来的にも高負担なガス方式で突き進もうとした」という。市議らが「癒着だ」と指摘する事態を、中原八一市長はどう収拾するのか。就任後、初の試練が待ち受けている。

 

エアコン設置に3市で110億円超

 

夏になれば冬のことを、冬になれば夏のことなど忘れてしまうもの。だが昨年のゲリラ豪雪、夏の猛暑は、忘れられないくらい強烈だった。前者では本県で列車が立往生し、後者では全国で命を落とす人が続出して社会問題になったほど。

 

昨年10月、国は児童、生徒らの熱中症対策として、全国の小中学校で普通教室にエアコンの整備を進めることを決めた。そのために新たな交付金を創設して支援することとし、国の補正予算に822億円が盛り込まれた。この臨時特例交付金は平成30年度限定の特例措置。各地の自治体は「乗り遅れまい」と、昨年から続々と学校の教室へエアコン導入を決めている。

 

新潟市では、国による措置とは別に、篠田昭前市長が昨年9月の市議会で、「今年中に小中学校などへのエアコン設置について整備方針を固める」と表明していた。そこへ前述のように、国がドンピシャのタイミングで新たな方針を決定した。

 

昨年10月末、新潟市では国の交付金を活用し、閉校予定の学校などを除く全ての小中学校と特別支援学校など156校、2千130教室にエアコンの設置を進めることを決めた(数字は昨年10月段階)。2019年度中に設置するもので、その事業費は約66億円だという。

 

昨年11月、長岡市でも同様に市内に55ある小学校全校と、設置済みや大規模改修中を除いた中学校8校、高等総合支援学校1校にエアコンを設置するとした。新潟市と同様に、国の特例措置を活用するもの。期限も同じく2019年度中で、対象となる64校769室への設置費用は総額で約27億円だという。

 

新潟、長岡と同様、上越市でも昨年12 月、「市立小中学校と幼稚園の全普通教室にエアコンを設置する」と発表した。49の小学校、20の中学校、そして幼稚園1園で、その保育室3室を含む70校668教室が対象となる。事業費は約20億円だという。

 

国の特例措置を利用したエアコン設置は、新潟、長岡、上越の3市だけで対象となる教室が3千500超。3市合計の事業費は113億円余と、ビッグなプロジェクトになる見込みだ。

 

予算は区役所三つ分

 

新潟市の場合、小中学校など、約2千100教室にエアコンを設置する総事業費は約66億円とされた。前述のように特別措置で、国の補助金が投入され、市で借金しても、その後に国が地方交付税で面倒をみてくれる手法が採用されている。

 

事業費の中身について、昨年の市議会12月定例会でこう解説された。

 

「今回の総事業費は約66億2千万円を見込んでおり、特定財源の内訳としては国庫補助金が約10億7千万円、起債が約54億6千万円を予定しています。起債のうち交付税措置で約13億5千万円が充当される見込みですので、本市の負担額は総事業費の約63%、42億円ほどになる見込みです」(前田秀子教育長)

 

新潟市の負担は全体の6割ほどだという。といって同市では基金が払底。税収もさっぱり伸びず、今年度はあらゆる事業の見直しを行い、予算ゼロだの半減だので騒動になるような懐具合だ。「4割は国がみてくれるから」といって、大風呂敷は許されない。

「新しくできる北区役所は、事業費が20億円台前半とされている。小中学校へのエアコン設置は、区役所3つ分にも相当する額。市の負担は全体の6割だとしても、財政難の新潟市にとって軽いものではない」(市議会筋)

 

学校だけに、授業時間に工事はできない。とても夏までに「市内の2千100教室、すべてエアコン設置完了」とはいくまい。それゆえ設置に優先順位がある。…続きは本誌に

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