• Clip to Evernote

2024年11月21日

中原八一・新潟市長の多難を物語るこれだけの指標

2018年12月27日

初当選後、初めての市議会を終えた中原八一新潟市長。特段、答弁に言い間違いもなく、無難な船出といったところだ。ただし質問する側や周囲の役人たちも相当気を使っていた感ありあり。それでもB
RTや財政など、これからの多難が懸念される材料がゴロゴロしている。ある市議は市長に向かい、「ご愁傷さま」と言ったほど。市長本人も周囲も、慣らし運転の時期を終え、これからが本番のようだ。

 

ラッキーボーイ、中原

 

10月に初当選した中原八一市長にとって、初の議会となったのが市議会12月定例会だった。同月4日に始まった議会は25日で終了。「無事これ名馬」というが、さしたる波乱もなく、新市長は無難に議会を乗り切った感がある。

 

12月定例会でもう一つの注目が、中原派の市議による会派再編のクーデターだった。月刊誌ゆえのタイムリミットで、定例会の最終日まで確認できなかったが、やはりクーデターは不発だったようだ。

 

市長選で中原支持を表明した市議は14人いた。市議会の保守系会派は最大が12人を擁する「保守市民クラブ」。2番手が11人の「新市民クラブ」で、この二つが保守系二会派で、3番手が5人で構成する「新潟市政クラブ」となっている。

 

これらのうち「市政クラブ」だけが会派を構成するメンバー5人全員が中原支持だった。そのほか二つの会派は、数の多寡こそあるものの、会派を構成する市議が中原、吉田孝志、飯野晋に分かれた。

 

中原支持だった14人が横断的にまとまれば、最大会派の「保守市民」を上回る数になる。市長与党となる最大会派の結成を狙ったクーデターだが、確かに一部そうした兆候はあった。

 

「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、「やるなら今だと思っている」と語った中原支持の市議もいた。だが市議らはもはやそれどころでないらしい。春の統一地方選で新潟市議会も改選を迎える。市議らも既にケツに火が付いた状態らしく、クーデターだの会派の再編だのと言っている場合ではなくなっているらしい。

 

そうしてみると中原市長は運がいい。市議らにとって、市長をやり込めることより、自身の選挙が関心事となっている。中原市長が初の議会を無難に乗り切ることができたのは、こうした事情があったからかもしれない。

 

新市長へもBRT攻撃

 

それでも市議会には歴戦のつわものが少なくない。例えば共産党の五十嵐完二市議(東区)だ。議会のたびごと篠田昭市長とは、主にBRT・新バス交通システムをめぐって常に論争を展開してきた。時に双方ともけっこう感情的になることもあって、ある種市議会の名物的な存在だった。

 

五十嵐市議は12月定例会の一般質問で、その質問項目の最後にBRTを持ってきた。ひととおりの質疑応答を終えた後、BRTについても再質問した。その内容は以下のよう。

 

「事業者(新潟交通)と協議するとしても、改善の方向性を共有することは大事ですが、一番の焦点は乗り換えを少なくすることです。それには市長選で中原市長が言われていた、直通便を大幅に増やすことが必要です。その構えで新潟交通と協議することが不可欠だと思います。

 

この間の状況をみると、簡単に直通便が増える状況ではありません。車両や運転手のことなども含めると、割と困難です。直通便を大幅に増やすという構えで協議に臨むのか、その決意についてうかがいたいと思います」(五十嵐市議)

 

先の市長選で五十嵐市議は小柳聡前市議を支持した。その市長選で、中原市長は「BRTの見直し」を主張。告示日前の段階から、「新潟交通と協議する」と公言していた。市議会12月定例会の期間中、
市街地中心部の本町(中央区)にある「本町食品センター」が閉店予定であるとする報道があった。「BRTで客足が遠のいたこと」が閉店の理由として伝えられたのはショッキングだった。

 

それはともかく、中原市長は五十嵐市議の再質問にこう答えた。

 

「BRTですが、12月の中旬に新潟交通と協議を予定しています。私としてはBRT・新バス交通システムを市民の皆さまから使いやすいように、また喜ばれるような公共交通機関にするという共通認識をしっかりと二者の間で了解をし、その中で直通便の増便につながっていくものと考えております」

 

「再質問は最初の答弁から一歩も出るものではありませんでした」と述べ、五十嵐市議は質問を終えた。中原市長と新潟交通との協議は12月19日に行われた。五十嵐市議の予測どおり、事業者側は唯々諾々と直通便の大幅増を認めたわけではない。「改善に向け合意」と伝えられたものの、具体的な中身はこれからのようだ。

 

BRTへの不満は大いにくすぶっていて、その見直しは待ったなしだ。見直しが具体化しなければ、市長は議会からも突き上げを食らうこと必至。BRTについても前途は多難のようだ。

 

やはり周囲がバックアップ

 

中原八一市長の地元である西区選出の高橋三義市議(新市民クラブ)は前議長で、市長選では飯野晋前北区長を支持した。12月定例会で同市議は、中原市長が選挙期間中に掲げた「10の基本政策」について、一問一答形式で細かく質問した。特に財政に関する部分については、さらに細かく項目を設定し、答弁を求めた。

 

「市長は財政の安定確保に向け、今後3年間を集中改革期間とし、事務事業の見直しをするとしていますが、既に平成28年度から事務事業の見直しが行われており、さらにどのような見直しを行うのか」(高橋市議)

 

答えたのは総務部長だった。…続きは本誌に

  • Clip to Evernote

関連記事