ナニッ! 30年前は「今より難関大進学がスゴかった!」
2018年12月27日
30年前、本県の大学進学率は全国最下位だった。前稿でも記したように、当時の同進学率は20%未満。同47%の現在の方が、難関大にも多く進学しているはずだ。そう思って当然。驚くなかれ、実態は真逆。タイトルそのまんまだったのである。
最下位でも内容は上々だった⁉
21、28、33、18。左の数字は何でしょうか?
正解は、順に30年前、20年前、10年前、そして2018年の、それぞれ東京大学進学者数。もちろん、本県高校卒業生だ(既卒含む)。
順調に増えていたのに、最後は30年前の水準に戻った。
参考までに記すと、2017年の東大進学者数は12人、16年は30人、15年は22人、14年は27人。30年前を上回る年もあれば下回る年も。順調に増えている、というわけではなさそう。
東大だけではない。と、その前に、本県高校・中等教育学校卒業生の進路を1988年から10年単位で追ってみる(表1)。
18歳人口(卒業者数)は30年前の1988年が最多で、2018年は当時の6割にまで減った。一方で、大学等進学率は1988年から順に19・3%、33・8%、48・7%、47・4%と大幅に上昇。大学等進学者の絶対数も6千人から2008年の1万1千人を経て、2018年は9千人超が進学した。18歳人口は減ったのに大学進学者数は増えた。これをどう見るか。
前稿で「18歳人口が減っているのに大学が増えたため、大学に入りやすくなった」という教育関係者のコメントを掲載した。「入りやすくなった」のは、「大学増=定員増のため」と説明すると言葉が足りない。極論するが、誰でも入れる大学が増えたから。誰でも入れるから偏差値が付かないボーダーフリーな大学、いわゆる「Fランク大学」が増加。全国にできたので、本県を含む地方圏の大学進学率上昇要因の半分は、これで説明がつくはずだ。
「もう半分」はどうか。学力が底上げされた。その結果、中堅大学進学者が増加。中間層の学力も底上げされ、難関大進学者が増えた…と言えれば、教育行政を褒め称えればいい。これを検証するデータが表2と3である。
先の東大進学者数は表2で確認できる。「旧帝大・トップ10」は、言うまでもなく国内最難関の大学群。同様に、カテゴリーは同じような難易度の大学で括り、表の上から高難易度で括った(表中の偏差値参照)。各大学の進学者数を追っていくと、実数は増えているように見える。実際、このカテゴリー内の合計は1988年から順に167人、168人、248人、220人。30 年前より増えている。
ところが、旧帝大・トップ10に次ぐ難易度群の「首都圏難関」では、同様に174人、253人、255人、175人。いったんは増やしたものの、30年前水準に戻った。
肝心なのは「占有率」(個々の大学進学者数÷国公立大学進学者数)と「カテゴリー別占有率」(カテゴリーで括った大学進学者数÷国公立大学進学者数)。どの難易度の大学(群)に、どれだけ本県高校生が進学したか、という指標だ。
2018年を見た時、国公立大では「近隣」を除き、30年前水準を下回っていることが分かる。
高まったのは進学率“だけ”
近隣」や「その他」を含む地方国公立大学こそ、進学者数、占有率ともに増えた。だが、難関大の進学者数は伸び悩み、占有率では県内大がグンと減って、難関大も減らした。…続きは本誌に