中原の街頭演説 まさかの聴衆ゼロ
2018年11月27日
相当に珍しい光景だった。選挙戦も最終盤の10 月26 日、その2日後に初当選を果たした中原八一市長の街頭演説で、何と聴衆がゼロという会場があった。当時、「中原は届かず、小柳、吉田の争い」とささやかれた。さもありなんと思わせた事態は「寝たふり」だったのか?
写真は投票日の2日前、10月26日に中原八一市長が行った街頭演説の様子だ。会場は江南区にある「キューピットかめだ三條岡店」の駐車場脇。翌々日に投票日を控えたこの日、各候補者は旧新潟市内を中心に、随所で街頭演説を展開し、選挙カーで支持を訴え続けた。
この日、中原市長は午前7時半から中央区内での辻立ちから活動を開始。午前中は同区内を中心に街頭演説を行い、午後には東区、江南区、夕方からは西区で個人演説会を開いた。写真の会場は2時30分から。昼下がりで夕方前の時間帯だけに、スーパーの駐車場は車もまばらで、買い物客も多くはなかった。
この街頭演説に同行していたのは地元江南区選出の串田修平市議、中原八一選対本部で幹事長代行を務めた高橋直揮県議(西区)、そして応援に駆け付けた自民党の木村弥生衆院議員(比例近畿ブロック)だった。
余談だが、選挙戦で中原市長の街宣や個人演説会には、必ずと言っていいほど自民党本部から派遣された国会議員らが登場した。「あれでは〝中原は一人じゃ何もできないんです〟と言っているようなもの」。そんな酷評もあった。それはともかく、この種の街頭演説にはお約束のパターンがある。応援弁士がマイクを握っている間、候補者は集まった聴衆と、可能な限り多く握手して支持を訴える。これは自民党でも共産党でも、ほとんど同じ。
ところがだ。写真を見て頂きたい。スーパーの駐車場内で握手をしに回るどころか、中原市長は一人携帯電話で何やら話している。緊急の用件で有権者との握手を怠ったわけではない。実はこの街頭演説で街宣車の前に集まった聴衆は一人もいなかった。候補者も応援弁士も、聴衆ではなくスーパーの駐車場や建物に向かって声を張り上げていた。
「それなりの候補であれば、選挙戦の最終盤ですから、声を聞きつけて人が集まってくるものですが…」 (選挙事務所の関係者)
この日、午前中に秋葉区で行われた小柳聡の街頭演説では、動員もあって相当な人数が集まった。同日午後、やはりスーパーの駐車場で行った吉田孝志、飯野晋の街頭演説でも、数は少ないが支持者が駆けつけていた。
「キューピットかめだ三條岡店」での街頭演説が終わると、中原市長は街宣車とは別の車に乗り込んだ。この会場で同市長が握手したのは、移動間際にすれ違った年配の婦人ただ一人。
投票日直前、もっぱら「中原は伸びず、小柳と吉田の争い」と言われた。確かに写真のような状況を見るにつけ、「中原、届かず」と思われた。
「寝たふりだったんですかね…」と、落選した候補者の選対幹部がポツリとつぶやいた。