新発田市長選 争点にならなかった市政の底流
2018年11月27日
11月18日に投開票が行われた新発田市長選で、二階堂馨市長は3選を果たした。市政の流れを変えるべく立候補した小林誠前市議は届かなかった。知名度不足に加え、出馬表明が遅れたという事情もあったろう。敗因の一つに挑戦者側が明確な争点を現職に叩き付けることができなかったことが考えられる。そのため市長選はいま一つ盛り上がりを欠いた。市政の底流には争点とすべき事柄が相当にあったはずなのだが。
急転直下
任期満了に伴う新発田市長選は11月11日告示、同月18日に投開票が行われた。立候補したのは現職の二階堂馨市長と小林誠前市議の二人。結果は今さらお伝えするまでもなく、2万6千292票対1万7千400票で、同市長が3選を果たした。
二階堂市長の3選に向けた意向が伝えられたのは今年3月初め。その後しばらくは「誰かが出馬を模索している」といった確たる話もなく、「秋の市長選は無風か」と思われた。
だが急転直下、10月に入り地元紙が対立候補の出馬を伝えた。3年前の市議選に民主党(当時)公認で初当選した小林誠市議(当時)で42歳。3区の黒岩宇洋衆院議員の秘書を務めた人物だ。
一転して一騎打ちの展開となった新発田の市長選。二階堂陣営は慌ただしく10月13日に事務所開きを行った。塚田一郎参院議員や斎藤洋明衆院議員のほか、花角英世知事、そのほか地元の県議や市議、あるいは経済団体の関係者などがこぞって集まる重厚な顔ぶれだった。
二階堂陣営に遅れること1週間。10月20日、小林氏の事務所開きが行われた。黒岩宇洋衆院議員や地元選出の佐藤浩雄県議のほか、数名の市議が顔を見せた。その顔ぶれには保守系のほか社民、そして共産党の市議が含まれていた。
二階堂市政だが、保守系のほか「水と油」であるはずの共産党と公明党まで仲良く支持する「オール与党体制」だった。共産党の市議が小林市議側に付いたことから、従来の枠組みが崩壊したことが分かった。
元市議会議長の二階堂馨市長が初当選を果たしたのは8年前。その選挙戦は片山吉忠元市長の支持を得た佐藤浩雄前県議(当時)、自民党の石井修県議が支援した鬼嶋正之元紫雲寺町長、そして4年前の市長選にも出馬した三村誉一氏の4人によって争われた。
8年前はJR新発田駅橋上化や新庁舎の建設が争点となった。議長だった頃、元市長と共に駅の橋上化を推進する立場だったはずの二階堂市長だが、初当選の市長選ではこれに反対。勝利を呼び込んだのは「二階堂陣営に共産党が加わったことだった」と言われている。
今回はその共産党がアンチ二階堂側に回ることになった。8月、新発田市に隣接する聖籠町の町長選で異変が生じた。今回の二階堂陣営と同様、重厚な布陣で7選を目指した聖籠町の現職町長がよもやの敗退。11月11日、市長選の告示日に行われた二階堂市長の出陣式では、聖籠町で敗れた現職町長の場合と同様、国会議員や知事、県議や周辺自治体の首長らが勢揃いした。…続きは本誌に