妙高市長選 噴出した多選現職への恨み節
2018年11月27日
結果は9千4百票対7千8百票。現職の入村明市長が5選を果たした。対立候補、渡部道宏氏は多選の弊害や財政の問題を訴えたが届かなかった。その渡部氏を支持した元首長らの言葉は激越だった。「市長選のポイント」として、筆頭に掲げたのが市長の人格だ。そして「今の妙高市は北朝鮮と同じ」と指摘した。
多選より飛行場
任期満了に伴う妙高市長選は10月28日に投開票が行われた。今さらの話だが、立候補したのは現職の入村明市長、そして新人で行政書士の渡部道宏氏の二人。結果は入村市長が9千451票、渡部氏が7千814票、同市長が5選を果たした。
県内の首長では出雲崎町の小林則幸町長が現在8期目で断トツの最多選。県内20市では、何と言っても加茂の小池清彦市長が6期目で、その個性とともに他の追随を許さない。同市長に続くのが、見附の久住時男市長と妙高の入村明市長の5期だ。
入村市長が合併前の新井市長に初当選したのは平成14(2002)年。この時は新人4氏による混戦だった。その3年後に同市は妙高高原町と妙高村を編入し、妙高市となった。同18年の選挙こそ無投票だったが、入村市長は3期目、4期目、そして今回も一騎打ちを制して5期連続当選を果たした。妙高市の誕生から現在まで、入村氏しか市長になった人物はいない。同市長は「ミスター妙高」みたいな存在だ。
その入村市長に約1千600票差まで迫ったのだから、渡部道宏氏は健闘したと言えるだろう。仮に入村市長の得票のうち、その1割弱、約900票を渡部氏が奪っていれば順位は逆転していたことになる。その渡部氏だが、元は市職員で、3年前の県議選に出馬したが落選。来春の県議選を目指したが、周囲からの要請もあって市長選に出馬したという。
妙高市長選の結果を伝えた報道には、「多選批判を訴えた渡部氏…」、「入村氏、多選批判をかわす」など、ほとんどお約束のように〝多選〟の文字が登場していた。ただし市議会の会議録をチェックしても、大上段に市長の多選を批判したような発言は見当たらない。
最近の妙高は昨年オープした「ロッテアライリゾート」や、各種の飲食や物販スペースが充実した「道の駅あらい」などで知られる。9月に行われた選対本部の発会式で、入村市長は「飛行場をつくるための仕掛けを始めている」と語ったという。こうした大プロジェクトをブチ上げることが、多選批判をかわすことにつながったのかもしれない。
「北朝鮮と一緒です」
候補者だった渡部道宏氏の訴えはまだ穏やかだった。
「例えば新井の駅前、あるいは関山や妙高高原の駅前、あんなにさびれていたでしょうか?…続きは本誌に