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2024年11月22日

初開催の前市議研修会は、災害対応より宴会優先!?

2018年09月27日

7月の西日本豪雨、9月、関西国際空港を「孤島化」した台風21号、そして同月6日未明に発生した北海道胆振東部地震…。この夏の自然災害は列島を震撼させた。県市議会議長会が主催する全市議研修会が初めて開催されたのは8月28日。この日は県内も大荒れで、大雨警報や土砂災害警戒情報が発令された。上越市では道路が冠水し、避難勧告が出されたほど。それでも研修会後に付き物でお楽しみの懇親会(情報交換会)に大半の市議が参加、盛会だったとか。

 

「反省してます」

 

「ちょっと反省しています」

ある市議はこう言った。8月28日、「アオーレ長岡」で開催された県内の全市議を対象とする議員研修会についてだ。主催は県市議会議長会(会長は長岡市議会の丸山勝かつ総ふさ議長)。報道機関向けの案内によれば、その目的は〈議員の更なる資質向上や県内の他議会の取り組みを学ぶため〉、だとか。

 

研修会が始まったのは午後1時半。まず地元である長岡の五ご井い文雄市議が「日本酒で乾杯を推進する条例について」、上越市議会の武ぶ 藤とう正信議長が「議会改革のあゆみ」について発表。その後、元三重県知事である北川正まさ恭やす氏(早大名誉教授)が、「地方議会が地方を変える 地方から日本を変える」と題して講演した。

 

県内20市の市議は総数で475人いる。このうち9月23日に改選を予定していた胎内市議会(定数18)は当初から不参加だった。研修会に参加を予定したのは19市議会の約350人で、実際に出席したのは313人。

冒頭の市議だが、この研修会をサボったことを反省しているわけではない。実は、一部の市議らが当日欠席を余儀なくされた理由があった。県市議会議長会の事務は長岡市の議会事務局が担当している。同事務局では、その理由についてこう言う。

 

「この日は災害がありましたから」

 

県内の全市議を対象にした研修会が開催されたのは8月28日。この日、停滞した前線の影響で上越市は未明から大雨に見舞われていた。市内の各地で道路が冠水したほか、河川の増水と土砂災害の危険性が高まったことから、同市では同日午前9時30分に村山秀幸市長を本部長とする災害対策本部を設置。直江津区、春日区など5区の全域に避難勧告を発令した、

 

こうした事情から、「上越市議会(定数32)で参加予定だった市議の半数ほどが出席を見合わせることになりました」(同)という。研修会より災害対応を優先させたのは、市議として当然の結果だったろう。

 

ほぼ全県に土砂災害警戒情報

 

余談だが、大雨でおよそ半数が研修会を欠席した上越市議会は県内の議会では優等生的存在だ。早稲田大学マニフェスト研究所(議会改革部会)が6月に発表した2017年度「議会改革度調査」の結果によれば、県内上位ランキングで、上越市議会は堂々の第1位。以下、柏崎、新潟、妙高、新発田と続く。県議会は県内10位で、町村議会では阿賀町が12位に入っている。

 

注目された上越市議会の特徴は以下のよう。

〈市議を目指しやすい環境整備に向けた改革案の作成にあたり、市民との意見交換を練り直して実施。ホワイトボードミーティングの手法を取り入れ、活性化と効率化を図った〉

 

「ホワイトボードミーティング」とはホワイトボードに意見やアイデアを書きながら会議を進める手法で、効率的に合意形成や行動プランの決定が可能だという。

 

さて全市議を対象にした研修会が開催された8月28日だが、上越市だけが大雨だったわけではない。その前日、関東地方では局地的に2万回も落ちたという雷と、突風を伴った激しい雨に襲われた。数年に一度の危険な雨量とみなされ、「記録的短時間大雨情報」も発表された。こうした状況はテレビのニュース番組でも報道され、市議らもそのすさまじさに目を見張ったに違いない。…続きは本誌に

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