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2024年11月23日

十日町市 新規開業員医に1億2千万円!

2018年09月27日

十日町市は中条第二病院(JA新潟県厚生連、180床)の入院病棟閉鎖などで大揺れしている。その一方で同市の支援事業を利用し、新しいクリニックが中心市街地に誕生。
その補助額は何と1億2千万円だという。地元の県立病院を辞めて開業した医師へ交付されたもので、医師に去られた病院では、後任の補充ができていないという。したがって市内の医師はその数が増えたわけではない。それなのに高額の補助。何だかチグハグではないか?

 

病棟閉鎖、老健廃止で大混乱

 

十日町市はJA県厚生連が運営する中条第二病院の入院病棟閉鎖、さらに同病院に併設されている介護老人保健施設(老健)「きたはら」などの廃止で揺れている。その存続を求める市民団体の関係者はこう言った。

 

「これで終わったわけではありません。これからが正念場です」

 

中条第二病院は市内でも小千谷市寄りの中条地区にある。精神科専門の病院で、ベッド数は180。同科のほか内科、整形外科などの外来診療も行っている。病院と同じ敷地内に老健の「きたはら」(100床、ショート含む)、共同生活援助事業所「リビングinひだまり」がある。

 

この中条第二病院について、地元紙が「最悪は撤退も」と報じたのは昨年12月のこと。精神科に対する補助金の大幅減額が見込まれ、これまであった同病院の新築整備計画が再延伸されたことから、「小千谷へ統合、あるいは撤退」とされた。

 

地元の十日町市では「地域医療を守る住民の会」が組織され、1月から病院と老健の存続を求める署名活動が展開された。9月6日、「住民の会」ではJA県中央会の今井長司会長に約4万1千人分の署名の写しを提出し、病院と老健の存続を求めた。

 

JA県中央会に存続の署名が提出されてからわずか数日後の9月11日だった。十日町市議会での答弁で、関口芳史市長が中条第二病院に関する県厚生連の方針を伝えた。その内容は「来年3月末で入院病棟は閉鎖、外来のみ継続、老健も閉鎖」というもの。

 

この県厚生連の方針は、8月21日に十日町市や津南町も加わり、JA十日町で開催された「あり方委員会」で既に報告されていたものだったという。とすれば、9月6日に「住民の会」がJA県中央会に署名を提出した段階で、入院病棟や老健を廃止する方針はとっくに決まっていたことになる。

 

「病棟には130人ほどの入院患者がいるわけだが、来年の3月までに転院先を決めなければならない。移るとすれば長岡市内の病院か、魚沼基幹病院といったことになるのだろうが…」

 

地元からは戸惑いと、急な結論に対する反発の声が聞こえている。

 

二人開業で1億2千万円なり

 

中条第二病院の件は、医療に関する十日町地域のシビアな一面を伝えている。一方で、どちらかと言えばコミカルな医療に関わる話題もある。

 

「十日町では医師確保の対策として、開業医向けの支援制度をつくったんです。これがけっこういい額の補助金が出るんだよ」(十日町市内の会社社長)

 

その名は「十日町市医療施設整備等支援事業」という。平成27年4月1日から開始された。ザックリとした内容は以下のよう。対象は市内で10年以上継続して診療を継続する見込みのある医師。土地や建物など、施設整備については対象経費の2分の1、限度額は5千万円、医療機器等の設備整備については対象経費の2分の1、限度額は1千万が補助される。

 

これらは新規開業だけではなく、既存開業医の施設や設備の整備も対象とされる。このほか新規開設には借入金の利子に対する補助もあるし、開業医に後継ぎがいないようなケースで、既存医療施設の院長後継者となった場合、1千万円が補助される。

 

新規開業しろ、既存のクリニックを新しく整備するにしろ、マックスで施設関連で5千万円、設備関係で1千万円、合計6千万円が補助されるということだ。これほど美味しい支援事業は、あたり近所を見回してもちょっと聞かない。ほとんど日本で唯一ではなかろうか。

 

この制度の実績をたどっていくと以下のようだ。…続きは本誌に

 

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