新潟市 除雪費未払いの前代未聞!
2018年04月27日
この冬〝ゲリラ豪雪〟に見舞われた新潟市。公表される除雪費は、こちらもゲリラ的に増加して、最終的には105億円とされた。その除雪費だが、何と協力業者への未払いが発生した。役所が支払い期日を延期するなど、前代未聞。この冬の大雪に起因する天災か、役所側、業者側の落ち度による人災か。はたまた未だかつてない財政難のトバッチリか。とにかく未曽有の事態が発生した。
未払い額数十億!?
「支払条件の変更」は資金繰りの悪化による倒産のシグナルとされる。手形の支払期日を延期する「手形ジャンプ」も、企業が破たんする兆候とされた。手形が「不渡り」となれば倒産は時間の問題だ。まさか新潟市がこれらと似た状況になろうとは…。だが同市の〝信用不安〟とも思われる事態は確かにあった。
年度も改まった4月10日前後のことだ。市内の開発コンサルタントがこう言った。
「西区での話ですが、除雪協力業者に対し、この冬の除雪費が未だ新潟市から支払われていないようなのです」
一概に信じがたい話だ。だが事態は西区に限らないようだった。東区の除雪協力業者はこう言う。
「当社もまだ支払ってもらっていないんです。除雪費は月末で締めて、翌月の25日支払いになるのです。2月に行った除雪分に関し、4月10日を過ぎていますが、未だに支払われていません。仮に市全体で未払いが発生しているとすれば、何十億円という額になるはずです」
中央区の除雪協力業者に確認すると、代表者はこう言う。
「除雪費が入っていないとは聞いていないが、とにかく事務に聞いてみる」
会社の事務員に確かめたところ、「入っていない」という回答だった、〝ゲリラ豪雪〟とも呼ばれたこの冬の大雪で、「最もダメージを受けた」とされるのは旧新潟市域の海岸部にある中央区、東区、西区だった。これまで比較的積雪量が少なかった海岸部だが、一時期は内陸部に位置する秋葉区や南区よりも積雪が多かった。しかも80㌢を超えるという、ほとんど経験したことがない記録的な豪雪。こうした〝想定外〟の地域でだけ、想定外の除雪費未払いが生じたのだろうか?
海岸部の中央、東、西の3区限定で未払いが発生したわけではなさそうだ。江南区や北区でも似たような話が聞かれた。ただし秋葉区では違った。同区にある除雪協力業者の社長はこう言った。
「秋葉区内で業者に対する除雪費の支払いが遅れているとは聞いていないね」
必ずしも社長が入金の細かい状況まで把握しているわけではない。「経理に確認する」として返ってきた回答が以下。
「少なくとも当社では支払いの遅れはなかったようだ。経理の担当者は、ほかの区で未払いが生じていることは承知していた」
全体の状況は不明だが、この冬の除雪費について、新潟市が期日までに支払いを済ませなかったことは事実らしい。
雪だるま式で除雪費拡大
この冬、新潟市が大雪警戒本部を設置したのは1月が2回(11日、12日)、2月が1回(12日)だった(新潟地方気象台の記録)。1月12、13日、西区では除雪能力をはるかに超える雪が一気に積もり、海岸部を中心に大混乱だった。
平成17年の合併以降、除雪費が最大だったのは同23年度で約50億円。1月23日の記者会見で、篠田昭市長は今冬の除雪費が過去の記録を更新し、約60億円に上るとの見通しを示した。1月中旬の大雪に関し、市に寄せられた苦情は約3千400件あったという。
1月23日で約60億円と見込まれた除雪費だが、さらに膨らむことになった。2月16日に開会した市議会定例会の冒頭、篠田市長が示した補正予算案にはこうあった。
〈8区の観測地点における平均累積降雪量は、過去5年間の2・7倍。最低気温が氷点下となる冬日も1月20 日から2月13日まで25日連続(中央区)で、『61豪雪(26日間)』以来32年ぶりの長さとなりました。その処理に要する費用も過去5年間平均の2・3倍の約75億円と、過去最大となる見込みで…〉
過去最高の60億円を更新し、除雪費は約75億円になった。3月15日、市議会に報告された金額はさらに拡大して100億円だった。内訳は除雪作業委託費が約72億円、融雪剤散布費が約11億円、除雪機械のリースなど17億円。これがさらに新年度の4月5日、委託費に3億円、リース料に2億円上乗せされ、105億円と発表された。
県の場合、除雪費は当初予算が66億円で2月の補正で69億円を計上。135億円になった。過去最高だった平成23年度を10億円ほど上回る額。一方の新潟市だが、当初予算が18億8千万円で、補正予算などを加えて約48億円を確保し、不足分は国の支援を求めるなどとしていた。
遅延の原因は業者にある
当然の話なのだが、いかに「財源が…」とはいえ、業者に委託して除雪してもらった代金は、約束どおり払わねばならない。…続きは本誌に