『睡眠時無呼吸症候群(SAS)
2018年03月27日
■医師データ
新潟大学医学部卒。平成2年、腹腔鏡下胆嚢摘出術を国内に先駆けて行う。以後、米、仏、フィンランドで内視鏡手術を研修。平成20年に県立加茂病院(副院長)を退職し、同年4月にプラーカ中村クリニックを開業。
「運転中や会議中に眠くなる」、「いびきがうるさいと言われた」これらは睡眠時無呼吸症候群の危険なサインだ。思いもよらぬ重大事故を引き起こしたりと、社会問題にも発展しかねないこの病気を今回は取り上げる。解説はプラーカ中村クリニックの中村茂樹院長にお願いした。
「睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は、睡眠中に繰り返し無呼吸になる病気です。繰り返す酸欠で熟睡が妨げられ、夜間頻回に目が覚めたり、熟睡感が得られず、日中の
眠気や集中力低下などの症状を来します。
SASの人は自分が困るだけでなく、仕事のミスや、運転中、作業中の大事故を起こしやすくなります(2005年JR福知山線脱線事故・2012年関越自動車道高速バス事故など)。また慢性的な睡眠不足が自律神経や内分泌ホルモンに影響し、高血圧、高脂血症やうつ病を合併しやすくなります。つまり働く世代にとって『職場の安全管理』と『個人の安全管理』の両面から重大な問題なのです。
SASは早期発見早期治療でコントロールできる疾患です。あなたも簡単な検査を受けて、安心してバリバリ仕事できる体調をつくりましょう。
SASの頻度、種類、なりやすい人ですが、朝熟睡感のない日本人は20~30%にも上り、このうち日中過剰な眠気に悩まされる人、いびきや無呼吸で途中覚醒する人も、それぞれ2~3%いるといわれています。またSASには脳が原因の中枢性SASと、肥満や舌根沈下などで気道が閉塞する閉塞性SASがありますが、日常に支障を来して問題になるのは閉塞性SASです。…続きは本誌に