新潟市長選 吉田、中原出馬なら野党共闘格好の餌食
2018年03月27日
4年前に行われた新潟市長選の頃、「野党共闘」といった言葉は今のような意味を持っていなかった。この間、潟県内では2年前の参院選、知事選で野党共闘が連勝。昨年の衆院選でも1区、4区で自民の候補が野党共闘に敗れた。そして10月の新潟市長選だが、野党共闘でも実現しようものなら、自民は吹っ飛ばされそうな状況だ。
吉田市議、注目の辞任時期
ある保守系の新潟市議が言う。
「吉田孝志がどの時点で市議を辞めるか、これが焦点になる。いつまでも市議のままでいることは秋の市長選に重大な影響を及ぼす」
篠田昭新潟市長はただいま4期目。その任期満了に伴う新潟市長選は10月14日告示、同28日に投開票が行われる。現職の篠田市長は「出る」とも「出ない」とも、態度を明らかにしていない。
現在のところ出馬を表明しているのは、4年前も出馬して次点に終わった吉田孝志市議(中央区)。冒頭に「いつまで市議のままでいるのか」と指摘さ
れたその人だ。そのほか出馬の意向と伝えられるのが、北区長の飯野晋氏。同氏は3月31 日付で辞任する旨の辞表を提出済みだ。ほかに取り沙汰される名前もあるが、具体的な動きにはなっていないようだ。
いち早く名乗りを上げた吉田市議だが、3月20日に閉会した市議会2月定例会で、同市議を含む保守系市議の一部に〝異変〟が発生した。同月15日に開催された常任委員会で、吉田市議と共に保守系の最大会派「保守市民クラブ」に所属する平松洋一市議(北区)が平成30年度予算案に反対を表明した。吉田市議は市民厚生委員会で、平松市議は文教経済委員会でのこと。篠田市長に批判的な保守市民クラブだが、会派として予算案には賛成の立場だった。
平成30年度の予算だが、「119億円の財源不足」とされる財政難を受け、緊縮型となった。市内の小学校で実施していた「本物の舞台芸術鑑賞事業」も予算はゼロ円。市議会の文教経済委員会で、市側は事業中止について、「授業時間を確保しなければならない学校側からの要請」としていた。
自転車で通学する中学生へのヘルメット購入事業も予算がゼロ円になった。「ではヘルメットを被る必要はないということか?」と、市議会の委員会で
疑問の声が寄せられていた。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭も中止だ。
「市民生活に密着した意外なところで予算が削減されている。従来であれば執行されていた時期に予算がないことが判明することになるだろうから、春
過ぎから夏場にかけて批判の声が相当大きくなるだろう」(冒頭に登場した保守系市議)
市議会2月定例会は3月20日に最終日を迎えた。この日開催された本会議で、平成30年度予算案は可決された。市長選への出馬を決めている吉田市議は、委員会に続き本会議でも予算案に反対を表明。異例の反対討論を行った。同市議と同じ会派に所属する平松市議、山田洋子市議(中央区)は共に採決時、退席した。
「吉田はようやく筋を通した格好だ。今の市政を転換しようという者が、予算案に賛成していたら笑われる」 (同)
そしてこの市議は「吉田はすぐにも市議も辞めるべきだ。本来ならもっと早く辞めるべきだった」と言う。そう語る背景には、自民党による市長選の候補者選考に関する事情があるらしい。
中原八一前参院議員浮上
4年前の市長選だが、3選時のマニフェストで「連続12年でけじめ」としていた篠田市長が出馬を表明。選挙戦は当時導入が予定されていたBRT(バス高速輸送システム)ワンイシューの様相となった。得票結果は篠田9万5千、吉田8万8千、共産党の推薦を得た弁護士の斎藤裕7万9千。
今さらながらの筋論だが、「12年でけじめ」とした篠田市長が3選を果たしたその時から、自民党は次の市長候補選びに入るべきだった。4年前、新潟市長選について同党が独自候補の選考に入ったのは7月26日のこと。この日、新潟市内の14支部を母体に設置された「新潟市長選候補者推薦委員会」が初めて会合を持った。
今回はこれより早く自民の候補者選びが進行している。…続きは本誌に