森裕子参議院議員を不起訴にした検察は正義を捨てたのか!?
2018年02月27日
寄付金控除の還付金を不正に受け取ったとして告発された自由党の森裕子参院議員について、新潟地検は昨年12月、不起訴処分とした。これを受けて告発者の元会社役員・志岐武彦氏(東京在住・75)らは新潟検察審査会に不服申し立て。法令違反を裏付ける証拠書類などを提出したという。その志岐氏が本誌新年号に続き「森議員による許されざる税還付の実態」について寄稿してくれた。
単身、大雪の新潟へ
新年号に続き寄稿の機会を頂き感謝している。私は前代未聞の森裕子参院議員不正税還付事件の全貌を知る唯ひとりの国民である。この事件を、新潟県民の皆様はもとより全国民に知らせることが私の重大な責務と考えている。
昨年12月、新潟地検が私たちの告発を不起訴処分にしたので、新潟検察審査会への不服申立てを決めた。
1月31日早朝、東京を立ち新潟に向かった。雪の中、新潟地方裁判所内にある検察審査会事務局を訪れ、審査申立書と証拠資料を提出した。その足で新潟県庁に向かい、記者会見を行った。いずれも初めての経験で、いささか緊張し疲れた。
まずは、森議員の不正税還付の実態をお伝えしてから、審査申立書の内容や記者会見の模様を報告する。
政治家の税還付とは
1994年に、企業・団体献金の代わりに個人献金を増やす目的で、個人が「政党」「政党支部」あるいは「国会議員が主宰する資金管理団体」に寄付した場合に限り、寄付額の30%の所得税の控除を受けられる特例が定められた(租税特別措置法41条の18)。
ところが、法律の趣旨に反し、寄付を受ける側の政治家が、自ら代表を務める「政党支部」に多額の寄付をし、所得税の還付金を受け取るという、不届きな政治家が出現した。
「政党支部」(以下支部という)と名前がつくと大きな団体を想像してしまうが、政治家一人ひとりが自分の支部を持っている場合が多い。
そのような「支部」の代表者は支部の資金を自由に使うことができる。支部の代表者がその支部に寄付するということは、自分が自分に寄付するのと変わらない。これによって税還付金を受け取ることは、道義的にも、倫理的にも許されない。だが、今日この悪弊は県会議員や市会議員にも広がっているのである。
森議員は日本一の税還付政治家?
この特例をフルに悪用してきた代表格が森裕子参院議員である。森議員が代表を務める支部の収支報告書には、消すことができない多額の寄付の記録が載っている(左表参照)。2004年から2015年の間、常習的に寄付を続け、寄付の総額は9,100万円にもなる。
9,100万円を寄付すると、約2,700万円の還付金を受け取ることができる。実際に還付を受けたかどうかだが、本人が2009~11年の寄付分について還付金を受け取ったことを認めていることから、それ以外の年も還付金を受け取った可能性が高い。
これだけ多額の寄付をしたということは、還付金を受け取るためとしか考えられないので、寄付金の一部あるいは大部分が「支部」から本人の元に戻された可能性は極めて高い。
私は、森議員以上に、多額の寄付をし税還付金を受けた政治家を知らない。おそらく、森議員は〝日本一の税還付政治家〟といえるであろう。倫理感の欠如した政治家である。
「今後は、議員が資金管理団体に寄付する」は嘘だった
2013年4月、大手新聞社が全国会議員を対象に、2009~11年の間に所得税の還付を受けたかどうかを調査した。その結果、17人の国会議員が所得税の還付金を受け取ったことを認めた。
森議員もその一人で、3年間で計2,190万円を寄付し還付金を受け取ったことを認めた。このことに関し、森事務所は意図的な行為ではないとし、「今後は議員が直接、資金管理団体に寄付する」と釈明した。
ところが、その年の7月の参院選挙に落選するや、9月から「支部」寄付を再開したのである。結局、森氏は、2013年に600万円、2015年に605万円を支部に寄付し、いずれも還付金を受け取ったのである。
議員でなくなったので自分の収支報告書をチェックする者などいないと考えたのであろう。だが、私は、偶然、収支報告書の寄付者名簿の中に「森裕子」の名前を見つけてしまった。もし、私が見つけていなかったら、森氏の不正税還付は永遠に表に出ることはなかった。運命のいたずらであろうか。…続きは本誌に