業界が震撼! 佐渡市官製談合事件の”超破壊力”
2018年02月27日
ついに突破口が開かれた。国や県、市町村が発注する建設コンサルタントや測量などの入札は”鉄板”に例えられるほど「ガチガチの談合体質」と言われた。1月に佐渡市で官製談合事件が摘発されたことで、強固で揺るぎないと思われた一角が崩壊した。事態は同市にとどまるものではない。全県で行われるこの種の入札に波及することは必至。それでも談合を続けるなら、今回の逮捕者のように、官界と業界からさらに犠牲が出続けるだけだ。
官製談合の構図
1月27日、地元紙は1面トップで佐渡市職員らの逮捕を伝えた。県警捜査2課と佐渡東署などが、同市上下水道課の職員(40代男性)と、新潟市中央区にある「新光コンサルタント」(山岸洋二社長)の佐渡事務所長(40代男性)を官製談合防止法違反の疑いで逮捕した。昨年9月に行われた上水道の設計業務に関する入札で、事前に業者側の所長が予定価格などを聞き、市職員がそれを教えたとされる。
国や県、市町村で行われる入札は工事の業者選定だけではない。建築設計や測量、道路や上下水道の設計といった各種の委託業務、あるいは物品の購入などについても行われている。佐渡市の職員によって予定価格が業者側に伝えられたという入札の結果は別掲のよう。最近では紙に金額を書くタイプは極めて少なくなった。事件の舞台となったのも、インターネットを利用して行う電子入札だった。条件を満たせば誰でも参加できる一般競争入札ではなく、発注側が決めた参加業者で競う通常型の指名競争入札で行われた。
開札は昨年9月12日、契約額の上限である予定価格は1千428万円。契約額の下限で、これを下回ると適正な業務が行われるか疑問とされる最低制限価格は928万2千円(予定価格の65%)だった。入札は11社が参加して行われ、新光コンサルタントが1千340万円で落札した。予定価格に対する落札率は93・8%ほど。
別掲のような佐渡市の水道工務係が担当する入札が平成28年度に6件、今年度も6件行われている。落札したのは28年度では4件が新光コンサルタントで、2件が日本海設事務所(新潟市中央区)、29年度ではこの2社で3件ずつ分け合っている。要するに同市の上水道に関係する委託業務は、この2社が実質支配している格好だ。
落札率高止まり
1月に逮捕された佐渡市の職員と新光コンサルタントの所長は、2月15日に新潟地検によって起訴された。罪は前者が官製談合防止法違反、後者が入札妨害罪とされている。
逮捕者を出してしまった新光コンサルタントは昭和49(1974)年の設立。上下水道や農業土木、道路等の建設コンサルタントが主な業務で、佐渡市のほか県内では上越市と三条市に、そのほか山形県酒田市や山形市、仙台市や福島県郡山市、長野市に支店がある。平成28年10月期の売上高は約5億2千200万円、経常利益は約1千500万円。同業他社によれば、「最近では東北での仕事が多いのではないか」、と言われている。
新光コンサルタントの山岸洋二社長だが、「もともとは県内大手の食品会社で営業を担当していた」(同業他社の役員)という。
「新光の社員には、この食品会社の出身者がけっこういますよ。技術部門ではなく、営業をやっていますね」(建設コンサルタント会社の営業担当者)
新光コンサルタントと同じビルに本社を置くのが山岸測量事務所。昭和43(1968)年に設立された同社の山岸陽一社長だが、新潟県測量設計業協会の会長を務めている。この山岸社長と。新光コンサルタントの山岸社長は双子の兄弟だという。山岸測量事務所の売上高は約3億5千100万円(平成29年7月期)、経常利益は約730万円。双子の兄弟が経営する会社は財務内容も似ていて、どちらもほとんど無借金だ。二人は同じブランドの違うマンションに住所を置いている。
佐渡市の入札に話を戻す。
「平成28、29年の落札件数だけを見ると、新光コンサルタントと日本海設計事務所は均衡しているようにも思えます。しかし受注金額を見ると、新光コンサルタントが大きく上回っているのです。
そして注目すべきは落札率です。…続きは本誌に