北区長出馬で風雲急の新潟市長選 本命だ~れ?
2018年01月26日
〈市長職は連続12年でけじめ〉。前々回の市長選で、篠田昭市長が掲げたマニフェストだった。4年前の前回、同市長はあえて約束を破って出馬し、4選を果たした。今のところ同市長は「今期限り」とも、「後継者を擁立する」とも言っていない。すなわち自身の出馬に含みを持たせながらの様子眺めだ。そこへ想定より早く、北区長の市長選出馬が伝えられた。10月28日の市長選へ向け、動きが加速し始めている。
よそもの、わかもの…
1月16日、地元紙が先んじて「飯野晋北区長が市長選に立候補の意向」と伝えた。同区長は経産省出身。公募で選ばれ、平成26年4月に就任した。同区長の去就だが、依然から注目されていた。
「経産省を辞めて公募に応じて区長に就任した。だから古巣に戻ることもできないし、区長を終えた後に、新潟市でポストが準備されているわけでもない」 (議会筋)
注目される存在ではあったが、北区以外では一般に馴染みがなかった。
「これまで顔は知っていても言葉を交わしたことはなかった。新聞報道後に同席する機会があって、初めて挨拶した」(同)
北区のウェブサイトに、飯野区長の就任挨拶が掲載されている。
〈家族とともに北区に移り住み、まさに、骨を埋める覚悟を持って、区民の皆さまの生命・財産・暮らしを守るため全力で仕事をしてまいります〉
新潟との縁もある。
〈私の父が新潟市出身なのですが、私自身は茨城県稲敷郡というところで育ちました。夏休みには祖父母の住む新潟市によく遊びに行きました。家族全員理系でしたが、私は大学では電気工学を学びました。その後、技術を通して我が国産業の発展に貢献したいと通産省(当時)に入りました〉(飯野区長の就任挨拶)
早大大学院の理工学研究科修了で、経産省時代に原子力規制委員会の柏崎刈羽原子力規制事務所の所長を務めたこともある。理系と言えば、旧建設省出身の長谷川義明前市長は京大工学部出身の理系だった。
その飯野区長だが、任期を残し今年度末で区長を辞任するという。
「本来なら区長辞任後に出馬表明という段取りだったようだ。それを地元紙が待ちきれず、1月の段階で出してしまった。北区の市議に区長から報道に関する一報があったのは、新聞記事が出た後だった。篠田昭市長には、飯野区長が立候補の意向といった記事が出ると事前に伝えられていたらしい」 (同)
「よそもの、わかもの、ばかものが地域を変える」と、よく言われる。44歳の飯野区長は「ばかもの」ではなさそうだが、地域創造には適役の人材かもしれない。
都の東北、北区の杜に
前出の議会筋が言う。
「経産省を辞めて区長に応募したこと、区長を辞めて市長選に出ようとすること、いずれも退路を断った格好で評価すべきだと思う」
官僚出身の候補にはウィークポイントがある。
「役人出身のやつらは、常に神輿に乗っかるだけだ」(青年会議所OBの社長)
立候補の意思が伝えられた北区の飯野晋区長だが、乗るべき神輿はあるのだろうか?自身で後援会を立ち上げたという話は聞かない。新潟に縁があるとはいうものの、頼るべき親戚縁者が多数いるわけでもなさそうだ。
「早稲田のOBが動いている。少し前、稲門会(早大の同窓会組織)の集まりが新潟であった時に、飯野さんも来てたんじゃなかったかな。なぜだか慶応出身の石﨑徹(衆院議員)も来ていたがね」(中央区の会社社長)
飯野区長に協力している早稲田OBの元市役所幹部もいるようだ。「都の西北」が早稲田の校歌で、作詞は糸魚川出身の相馬御風。北区は新潟市の「西北」ではなく東北にあるのだが…。それはともかく、「早稲田のOBが動いている」とは、昨年秋口からの話らしい。別のOBの動きもあるという。
「飯野区長の支持に回っている経産省のOBもいるんだ。彼らが動けば、新潟の経済界から支持を取り付けることが可能だ」 (同)
新潟の財界人をたどると、幾人かの経産省OBが浮上する。だが彼らが飯野区長支持で動いているか、周囲の見解が別れるところで、確証はない。…続きは本誌に