権力腐敗の元凶!? 県議選・無投票選挙区の大弊害
2017年12月27日
県議会議員選挙で毎回のように無投票当選が続出している。2015年に行われた前回の県議選では全27選挙区のうち12選挙区が無投票となり、計16人が有権者の審判なしに県議となった。県議会は定数53人だから、4人に1人が“無投票当選議員”というわけだ。しかしながら選挙の洗礼を受けずにこれほどたくさんの県議が誕生するのは大問題ではないか。有権者が民意を表明する機会を奪われているのは明らかだ。
“無投票当選議員”は軽く見られる
先の衆院選は希望の党や立憲民主党などの新たな政党が立ち上げられ、政策論争はそれなりに盛り上がったといえるのではないだろうか。自民大勝の結果はどうであれ、有権者が選挙に関心を寄せるのは大いに結構なことだ。
本県では昨年8月末、泉田裕彦知事(当時)が1カ月後に告示が迫っていた知事選への不出馬を表明。一時は森民夫氏(前長岡市長)が無投票当選するかに思われたが、米山隆一氏が出馬表明したことから選挙戦に突入し、周知のとおり米山氏が当選した。
また新潟市においては来秋の次期市長選への出馬を早々に表明している市議がいるほか、市議会選挙も毎回盛り上がりを見せている。
直近では関川村長選や湯沢町長選が無投票となった。湯沢町長選においては無投票で現職の田村正幸氏が再選したが、昔から「首長選は2期目の現職が最も強い」といわれるように、対抗馬擁立の動きもあったものの2期目を目指す田村氏を前にして出馬を断念した格好だ。同町長選での無投票は24年ぶりとのことで、これはこれで致し方ないことだろう。
しかしながら無投票が常態化している選挙がある。新潟県議会議員選挙だ。2015年に行われた前回の県議選では全27選挙区のうち12選挙区が無投票となり、計16 人が選挙の洗礼を受けることなく県議となった。県議会は定数53だから、4人に1人超が“無投票当選議員”というわけだ。
さる関係筋が話す。
「先の衆院選では一部マスコミが3区から出馬した自民前職の斎藤洋明氏について選挙区での当確の誤報を打ち、これを信じた斎藤氏が大喜びするシーンがテレビに映し出されましたが、すぐに誤報だと分かって意気消沈していましたよね。
斎藤氏はその後に比例区での復活当選が決まってもあまり嬉しそうではありませんでしたが、これは選挙区で勝利することが議員にとって至上命令だからですよ。
したがって国会内では、比例復活当選した議員は選挙区で勝利した議員よりも一段も二段も低く見られるのです。それと同じようなことが県議会にたくさんいる“無投票当選議員”にもいえます。“アイツはどうせ無投票で受かった議員だろ”とね」 (某議会関係者)
別の関係筋もいう。
「議員バッジに“無投票”と書かれてはいなくても議員同士、腹の中では“アイツとアイツは無投票だったよな”と無意識にレッテルを張っているものですよ」 (別の議会関係者)
議員の世界はそういうものらしい。
無投票は議員にとって痛痒
選挙にかぎらず、一生懸命に戦って勝利した者に対して世の中の人たちは拍手喝采する。大相撲でも力を尽くして勝った力士に対してファンは惜しみない拍手を送るではないか。
これに対して対戦相手がケガなどをして不戦勝となった力士に対してはどうか。行事から勝ち名乗りを受けた力士にも拍手が送られるが、それは場内割れんばかりの拍手にはほど遠い。とくに番付が下位の不戦勝力士への拍手はパラパラ程度で、あくまでも形式的な拍手にすぎない。
ある議会関係者はこういう。「無投票当選した首長や議員も選挙事務所で万歳三唱をやりますが、選挙戦で勝利したときに比べると明らかに控え目ですよね。政治家はやはり選挙で勝たないとサマになりませんわ」 (某市議会議員)
とはいえ無投票当選の場合、立候補者は選挙にかかる出費を極力抑えることができることから、選挙戦を勝ったときとはまた違った“喜び”があるらしい。
この議会関係者が続ける。
「無投票とはいっても、選挙カーや事務所は事前に用意しておかなければなりませんから最低でも100万円くらいはかかります。しかし選挙戦に突入すればその何倍もの出費を余儀なくされますから、無投票になればその分お金を使わなくて済むわけですよ」 (同)
事務所経費や車両レンタル料、ガソリン代、運動員の食事代など、選挙を戦うためには想像以上にお金が必要だ。本稿の本題である県議選ではいったいどのくらいのお金がかかるのか?…続きは本誌に