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2024年11月24日

第四・北越統合問題 公取委審査の高いハードル

2017年11月27日

第四銀行(新潟市中央区)と北越銀行(長岡市)の経営統合が6カ月先延ばしされて来年10月となった。公正取引委員会の企業結合審査が長引いているためだ。県内金融界における1強誕生は思いのほか難産のようだが、無事産声を聞くことはできるのか? 実現可能性を多角的に検証する。

 

金融庁がメンツをかけて新潟で

 

 

第四銀行と北越銀行が経営統合を実現するにあたって最大のハードルとなっている公取委の企業結合審査は7月19日に2次審査に移行した。

 

しかしそのわずか2日後、公取委が先行して審査していた「ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)」と十八銀行(長崎市)が10月に予定していた経営統合を無期限延期とする方針を固めた。

 

 

長崎県首位の十八銀行とFFG傘下の親和銀行が合併すると県内の貸出金シェアが7割に上ることから公取委が難色を示し、審査を通過する目途が立たないことから統合の無期限延期を余儀なくされた。事実上の白紙撤回だ。

 

第四銀行と北越銀行の内情に詳しい関係筋が話す。

「FFGと十八銀行の統合が無期限延期になったのは第四や北越の関係者にとっても大きな意味を持ちます。なにせFFGと十八は1月に当初4月としていた統合を半年延ばしたばかりで、このたび公取委の審査が長引いていることを理由に統合を半年延期した第四と北越も今のところまったく同じプロセスを踏んでいるわけですからね」(在京マスコミ関係者)

 

 

 

審査が長引いている最大の要因は公取委から両行に対して報告等要請事項など大量の“宿題”が出されたためだという。

 

この関係筋がいう。

「公取委が両行に求めた報告等要請事項は197項目にも上り、そのすべてについて回答を作成しました。また公取委は追加質問もしてくることから、関係者はそれらの対応に忙殺されたわけです」 (同)

 

 

片や公取委の杉本和行委員長は11月1日、都内で開かれた報道各社との懇談会で「銀行側が私たちの疑念、疑問点をクリアできる資料の提出や説明ができるかだ」と述べ、両行の対応が審査進展のカギを握っているとの認識を示した。

 

一方、公取委は県内事業者を対象に両行統合に関する需要者アンケート調査を実施している。仮に両行が統合した際の影響について地域住民から直接意見を聞こうというわけだ。

 

別の関係筋が話す。

「公取委はFFGと十八銀行の企業結合審査でも地域住民の理解を重視していました。公取委のこうした方針を受けて、経営統合による金融再編を推し進めたい金融庁は今年3月、長崎で地元関係者の理解を得ることを目的とした説明会を開いたのです。

 

金融庁が地銀の経営統合の意義や目的について公式説明するのは極めて異例なことであり、そこまでやったにもかかわらず統合が事実上、白紙撤回となったのはまさしく金融庁が公取委に完敗したことを意味します。したがって金融庁はメンツを保つために何が何でも第四と北越を統合させたいわけですよ」(銀行OB)

 

統合が正式決定した三重との違い

 

金融庁関係者は表向き「われわれが金融機関の統合を主導しているわけではない」としているが、FFGと十八の統合でその意義や目的について公式説明していることからも分かるように、言っていることとやっていることはまったく逆だ。

 

 

関係筋が話す。

「金融庁が長崎で異例の地元説明会を開いたのは3月8日でしたが、同月16日に第四と北越の経営統合が正式発表前にマスコミでスッパ抜かれたわけですからね。1月にはFFGと十八の統合延期発表を余儀なくされていたこともあって、金融庁は公取委に対する反撃ののろしとばかりに第四と北越の統合をマスコミにリークしたとみられます」 (在京マスコミ関係者)

 

しかしながら第四と北越の経営統合が実現するか否かは、両行が統合した場合の貸出金シェアが5割を超えることを公取委がどう判断するかにかかっている。長崎で7割となるFFGと十八に比べれば低いとはいえ、シェアの過半を持てば適正な競争が損なわれる可能性がある。…続きは本誌に

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