新潟市が全国屈指の”貧乏自治体”に転落の”A級戦犯”は?
2017年11月27日
新潟市の財政状況がトンデモないことになっている。平成19年度に315億円あった市の貯金が同28年度には5分の1以下の56億円にまで減少。「このまま行けば平成30年度には貯金がゼロになる」(新潟市財政課)という。家計と一緒で貯金ゼロとなれば市の財政運営はカツカツ状態で、行政サービスの低下が危ぶまれる。こんなに貧しい政令市をつくり出した犯人はいったい誰なのか?
貧乏より金持ちがいいに決まってる
記事の冒頭でまずは読者のみなさんにお尋ねしたい。金持ちと貧乏人はいったいどちらが幸せだろうか?
「人生は金だけではない」という人が少なからずいる。本当にそうだろうか? にわかには信じがたい。なぜなら「金だけではない」という人たちの中には、自分が金持ちではない向きが少なくないからだ。金持ちになったことのない人が言うことだから、いかにも説得力がない。
一方では生まれたときから家が裕福で金に困ったことのない人が「人生は金だけではない」と口にすることが往々にしてある。しかしこうした人たちは金にまつわる苦労をしていないからこそ、「金だけではない」などと呑気なことをいえるのではないか。
本当に金に困って苦労をして泥水をすすって生きてきた人は「金だけではない」などと軽々しく口にしないものだ。
金にまつわる格言を拾うと、少なくとも金持ちが不幸せなどとは思えなくなってくる。
今から20年前に著書『金持ち父さん 貧乏父さん』がミリオンセラーとなった投資家のロバート・キヨサキ氏はこう言っている。
〈お金は力だ。より多くのお金を持っていれば、それだけ多くの選択肢が得られるからだ〉
多くの選択肢とはどういうことなのか? 経済アナリストの森永卓郎氏はこう説明する。
「たとえば正規運賃の航空券は、自分の都合で自由に便が変更できるだけでなく、キャンセル料も安い。一方、格安運賃の航空券は、予約変更が利かずキャンセル料も高い。
つまりお金のある人は自由気ままに生きることができるのに対して、お金がない人は人生を束縛される。だからぜいたくな暮らしをしていなくても、選択肢の豊かさというもう1つの豊かさをお金持ちは必ず享受しているのだ」(経済アナリスト・森永卓郎氏)
一方、「いくらお金があっても幸せは買えないだろう」という人もいるだろう。しかし米国の詩人・スタインの名言に以下のようなものがある。
〈幸福はお金では買えないと言った人々は、どこで買えばいいか知らなかったのだ〉
確かに不必要なほど莫大な財産を築き上げることはあまり意味のないことなのかもしれない。しかし反対にお金を持たなさすぎるのも考えものだ。ドイツの劇作家・コッツェブーはこう言っている。
〈「貧困は恥ではない」というのは、すべての人間が口にしながら誰一人、心では納得していない諺ことわざである〉
こんな言葉もある。
〈金で幸せを買うことはできないが、不幸を避けることはできる〉
金持ちと貧乏人の“幸福度”を測ると、どうやら金持ちに軍配が上がりそうだ。
さて、本題は新潟市のお金の問題、つまりは財政状況だ。同市はもともと裕福な自治体ではなく中流あたりに位置していたが、ここ10年ほどで財政状況が大きく悪化。もはや全国屈指の“貧乏な自治体”へと転落寸前だ。
ある経済人がいう。
「厳しいとは聞いていましたが、ここまで酷いとは思ってもみませんでした」(新潟市の会社社長)
以下、具体的に数字を示しながら新潟市が目下瀕している危機的状況について見ていこう。…続きは本誌に