コストコ新潟進出で流通市場の勢力図は激変必至!
2017年10月27日
本誌前号が報じたとおり、会員制倉庫店「コストコ」が新潟市の鳥屋野潟南部地区への出店計画を進めていることが明らかになった。コストコの出店予定地の近隣にはイオンモール新潟南やアピタ新潟亀田店、アークプラザ新潟などの大型商業施設があり、文字どおり米国生まれの“黒船”が進出することにより競争激化は必至の情勢だ。それにとどまらずコストコ出店が新潟市はもとより、本県流通市場の勢力地図を大きく塗り替えるとの指摘もある。
店舗面積は3千~4千坪を想定
コストコについて詳しい関係筋が話す。
「巨大倉庫店などといわれてもなかなかイメージしづらいと思いますが、新潟に建設しようとしているコストコの規模はだいたい察しがつきます。店舗面積は3千~4千坪といったところですよ。
コストコは現在、国内に計26倉庫店を構えていますが、店舗面積はそれほど差がなく、一番大きな幕張倉庫店が1万5千平方㍍、一番小さな京都八幡倉庫店が9千5百平方㍍です。最も多いのが1万平方㍍ちょっとの倉庫店ですから、新潟に構える倉庫店は小さくても3千坪、大きければ4千坪ほどとみられます」(流通業界関係者)
仮に鳥屋野潟南部地区に出店するコストコの店舗面積が4千坪だとすると、これは他の大型商業施設と比較して大きいのか小さいのか?
前出の関係筋が続ける。
「県内最大の商業施設は今から10年前に新潟市江南区にオープンしたイオンモール新潟南です。店舗面積は5万3100平方㍍、坪換算で1万6千坪ですから、コストコはその4分の1程度ということになります。
ただしイオンモール新潟南は3階建てなのに対し、コストコは平屋建てで、しかもコストコの天井高は10㍍もありますから、フロアの印象はむしろコストコのほうが巨大に感じるはずです」 (同)
商品の陳列方法も他店とはまったく異なるという。
「コストコには商品在庫を保管するバックヤードがなく、パレットに積載されたまま商品を陳列します。いってみれば売り場が在庫置き場でもあるのです。
パレットラックと呼ばれる鋼鉄製の商品棚は3段積みとなっており、それぞれのパレットの高さは上段が4・5㍍、中段が1・5㍍、下段が床から15㌢となっています。上段のパレットラックに在庫をストックし、中段と下段を商品陳列用として使用するのです」 (同)
そして陳列されている商品はどれも食品であろうと雑貨であろうと販売ロットが大きく、一見すると一般家庭には量が多すぎるように感じるが、実際のところは主婦がママ友たちと一緒にグループ買いをしてシェアするなどして、和気あいあいと買い物を楽しむのがコストコ流だという。
前出の関係筋がいう。
「コストコは買い物をエンタテインメント化したといえます。コストコへ買い物に出掛けるお客さんたちの中には、まるで遠足に行くときのようなワクワク感を抱いている人たちが少なくないはずです」(同)
GMS事業の赤字にあえぐイオン
コストコ出店予定地の近隣には県内最大の商業施設であるイオンモール新潟南をはじめ、アピタ新潟亀田店、アークプラザ新潟などがあり、コストコ進出を機に誘客合戦が激しくなりそうだ。
また参考までに県内においてイオンモール新潟南に次ぐ規模の商業施設は長岡市のリバーサイド千秋で、店舗面積は3万8821平方㍍。
以下、3位がイオンモール新発田(3万7269平方㍍)、4位がイオン新潟西店(2万8000平方㍍)、5位がアピタ新潟西店(2万5833平方㍍)で、ユニーが管理運営するリバー
サイド千秋を除く4店舗がイオンで占められている。
そのイオンだが、本稿でスポットを当てているGMS(総合スーパー)事業が苦戦を強いられている。GMS事業が赤字に陥っているのだ。
イオンの2017年3~8月の連結業績はGMS事業の営業損益が104憶円の赤字で、前年同期に比べて赤字幅は縮小したものの黒字化への道のりはまだ遠い。
ある業界関係者が話す。
「イオンは2017年2月期連結決算で売り上げに当たる営業収益が8兆2101億円、営業利益については1847億円を計上しました。しかしGMS事業だけを見ると、5年前には556億円の営業利益があったにもかかわらず、2017年2月期には24憶円にまで縮小しています。
今春以降、GMS事業が盛り返していると伝えられますが、今のイオンの収益源は金融事業や不動産事業にほかなりません」 (会社社長)
なぜイオンのGMS事業が苦戦しているのか、その理由については諸説ある。…続きは本誌に