公立大学法人化寸断! 新潟産業大学の大学らしからぬ実情
2017年10月27日
長期にわたり経営難にある私立・新潟産業大学(柏崎市、北原保雄学長)の公立大学法人化の可能性について、柏崎市は9月22日、市議会全員協議会で、民間に委託した調査結果を公表した。調査費は約1400万円。
自力再建限りなく不可能 外部からの投資は不可欠
調査報告書の内容はこうだ。
●新潟産業大が存続するためには、公立化しか道がない。
●しかし、それは必要条件であって、十分条件ではない。
●公立化により短期的には経営が好転する可能性は高い。ただし、それは(一時的な)延命策に過ぎず、問題の先送りになる可能性がある。
●今後、大学の本質的部分で評価される時代が来る。
●そのためには、新潟産業大が「魅力あふれる選ばれる大学」になるという事業計画を示すことが必要。そして、次のように結論付けている。
●財政体力上、自力再生・存続は限りなく不可能に近い。
●施設・設備などについては、存続に向けた相当な再投資は不可避。
●教職員・教育体制については、(現在の大学は)市場からの価値認識や特徴の認識が得られていない。(註)つまり、教職員、教育体制含めて、社会的評価の対象になっていないという意味である。
●特徴づくりに向けた体制構築への踏み込みに欠ける。(註)つまり、教職員は大学の改革に向けて、何ら努力をしていないという意味が言外に込められている。
●現在描かれている改革構想(地域おこしの大学)は人的資源も不足の中、実現の可能性は低い。
●「公立大学法人化すればすべてが解決する」かのような認識を持っている教職員も見受けられる。
●入学前の期待値を入学後の満足度が超えていない。また、県内高校の進路指導教員への浸透度は低く、県内の私立大の中でも存在感が薄い。
●基本的には、自力再建は不可能であるとの見通しを踏まえ、大学の存続可能性に最大限配慮し、学部構成の変更や教職員の入れ替えなども含め、より精緻な事業計画が求められる。(註)
この点については、柏崎市民の間でも問題視されており、特に教職員に対する市民の評価は極めて低い。中央の大学で採用されなかった人物が同大学の准教授や教授の職に就き、法外な報酬を得ている、という批判である。こうした市民の声は文科省高等教育局にも「訴状」の形で届けられており、同大学が目指す公立法人化の大きな妨げになることは必至だ。いずれ、その書状は一部週刊誌で公開される可能性があるという。
●大学存続に対しては、ハード・ソフトへの相当程度の投資が必要な状態であり、外部からの何らかの支援が不可欠である。
以上の結果を一言で表現すれば「同大学の存続の選択肢は公立化しかないが、公立化すれば市の財政負担は厳しくなる。自力再建が不可能なのであれば存続の価値はない」ということであろう。
今年度入学者数は101人
調査結果を受けて、桜井雅浩柏崎市長は、市が同大学の設立に関与していたことを挙げ「大学だけに責任を求めるのはおかしい」とし、同大学が新たに事業計画を立案することに期待を示しつつ「2017年度中には方向性を出したい」と話した。
同大学が現在の私学から柏崎市が運営者となる「公立大学法人」への移行を目指す方針を明らかにしたのは2014年11月7日のこと。
この年の入学者数は108人。4年制大学であるにもかかわらず、その辺の中学校よりも新入生が少ないというお寒い結果だった。ちなみに今年度の入学者数は101人。もはや大学としての体を成していないようだ。
同大学の経営難は今に始まったわけではない。十数年前から新潟県の大学の中でも最も経営難にあえぐ大学として、存続が危ぶまれていた。その原因は、財政上の問題もさることながら、大学としての魅力や実績が乏しいことが指摘されていた。
市は毎年の補助金のほかに、同大学の旧産業システム学部用校舎を、市教育センターとして、平成34年まで月額98万円で借り上げている。残り5年として、5880万円の家賃収入が保証されている。
それでも財政面では厳しい状態にあるのはなぜなのか。かつて同大学の枢軸にいたことのあるA氏(東京)は、…続きは本誌に