『緑内障について』
2017年10月27日
長谷川 茂 氏
■医師データ
長谷川茂。新潟大学医学部卒。同大学医学部講師、助教授、准教授を歴任。大学では数多くの難症例の手術を手掛け、県内外の地域中核病院の眼科手術責任者も務める。新潟の名医に2回連続で選出される。医学博士。
最悪の場合、失明の危険もある緑内障。自覚症状が少なく、気づいた時にはかなり進行していることも。今回は、日本人40歳以上の20人に一人(5%)が罹患しているといわれる緑内障を取り上げる。解説は新潟眼科クリニックの長谷川茂理事長にお願いした。
「世界の失明の原因(2010年WHO)としては白内障(51%)が圧倒的に多いのですが、では、日本ではどうでしょうか。
まず1位に緑内障(21%)、続いて糖尿病網膜症(19%)、網膜色素変性症(14%)、黄斑変性(9%)、強度近視(8%)となります。日本では医療・制度の充実のおかげで白内障手術による失明は激減しています。
緑内障は視神経の障害です。光(可視光線)が角膜、水晶体、硝子体を通過して網膜に入り、電気信号に変えられたのち、視神経(電線)を経由して大脳後部(視覚領)に至って物が見えますが、緑内障はその電線が進行性に切れていく病気です。原因として様々考えられていますが、主に眼圧が関係する(眼圧を下げると緑内障の進行を抑えられる)ことが証明されています。しかし眼圧が高いから即緑内障とは診断できません。眼圧が正常範囲の正常眼圧緑内障が一番多いからです。したがって、眼圧のみならず眼底検査で視神経乳頭の形状(立体的な観察)、網膜表面の視神経繊維の厚み、視野検査など総合的に診察・検査して診断する必要があります。
一般に緑内障の治療は眼圧を下げることが目標となります。正常眼圧緑内障ではより低い眼圧が求められます。現在は点眼治療薬の進歩により、多くの緑内障が点眼のみで眼圧下降が得られ、手術しなければならないケースは大幅に減少しました。…続きは本誌に