『成功率 80 %! 〜禁煙外来のすすめ〜』
2017年09月27日
■医師データ
浦野正美。新潟大学医学部卒。同大学耳鼻咽喉科学教室、県立中央病院耳鼻咽喉科医長、済生会新潟第二病院耳鼻咽喉科部長を経て02年に開業。
がんの危険因子の中で、確実とされているものの一つに喫煙がある。喫煙率は年々下がってきているとはいえ、いまだにやめられず、苦労している人も多い。そこで今回は、禁煙外来を取り上げる。解説は浦野耳鼻咽喉科医院の浦野正美院長にお願いした。
「喫煙が原因となる悪性腫瘍としては、耳鼻科領域では喉頭がん、下咽頭がん、口腔がんなどがあげられます。
喫煙はあらゆる病気の原因となりますが、中でも喉頭がんについては、因果関係が強く指摘されています。タバコといえばニコチンというイメージが強いのですが、ニコチンは主に依存性を引き起こすもので、実際にはタールに含まれる数百種類の発がん性物質が人体に悪影響を及ぼします。喉頭がんの患者の95%以上は喫煙者で、とくに1日のタバコの本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が400を超える場合は発がんの可能性が高まります。
喉頭がんは、ロックミュージシャンの忌野清志郎さんや、落語家の立川談志さんが命を落としたがんとして知られています。また2014年には、ミュージシャンのつんくさんも罹患して手術をしていたことが公表されました。喉頭がんは声帯にできる声門がんが最も多く、60~65%を占めています。発声器官である声帯にできるため、声の枯れが見られます。好発年齢は50~80代で、男女比は10:1で男性に多いがんです。喉頭がんは早期発見できれば、手術ではなく放射線治療で済む場合もあります。しかし発見が遅れてしまうと、腫瘍切除のために声帯が失われ、発声機能を失ってしまうことがあるほか、最悪の場合は首のリンパ節から肺に転移することもあります。…続きは本誌に