泉田前知事擁立で再燃した自民・二階派VS麻生派の代理戦争
2017年09月27日
8月に5区の衆院議員で自民党の県連会長だった長島忠美氏が急逝した。後継候補としての泉田裕彦前知事擁立をめぐり、自民党は大モメにモメた。亡くなった長島氏は二階派で、その領袖である二階俊博同党幹事長と、星野伊佐夫元同党県連会長のラインが「強引に泉田推薦で押し切った」とされた。アンチ泉田・星野派による強烈な逆風の発信源は同党の麻生派ではなかったか…?
前知事と自民の距離感
「知事を代えてから来い」。泉田裕彦知事の在任中、自民党県連の役員らが財政支援の陳情に出向いた際、麻生太郎副総理兼財務相がこう言い放った。
永田町や霞が関から見て泉田前知事は〝悪党〟といった存在だったのだろう。悪党とは歴史用語で、時の政権に従わなかった武士などを指す。柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田前知事は「福島の検証なくして再稼働はあり得ない」と繰り返した、自民党関係者はこう言う。
「自民党のエネルギー政策はベストミックスだ。新規の原発を建設する必要はないものの、廃炉を急ぐ必要もない。泉田前知事の主張は実質的な廃炉で、自民党の政策と合うわけがない」
富山、石川両県にとっても泉田前知事は〝悪党〟に映ったはず。物議をかもした北陸新幹線の建設負担金問題だが、一時泉田前知事は県の予算案に負担金を計上しない方針を示した。けっきょく国と負担金の支払いで合意したが、返す刀で並行在来線の赤字分「30年間で780億円」(後に830億円と試算)について、国が追加支援することを確約させた。
当時、「新潟の知事はゴロツキと同じ。北陸新幹線の開業を人質に、ゴネるだけゴネて国から金をせびり取った」などと言われた。こうした泉田前知事の政治信条やその手法が自民党のそれと合致するのか、多くの県民が疑問に感じているに違いない。
8月に自民党県連会長だった5区の長島忠美衆院議員が急逝。その後継をめぐる同党5区の選考委員会は、紆余曲折を経て泉田前知事の推挙を決めた。これには5区ばかりか、選挙区外の自民党関係者からも反発が巻き起こった。前述の原発再稼働や北陸新幹線の負担金などの経緯からして、当然の結果だろう。
そこで注目されたのが、新しく県連会長に就任した塚田一郎参院議員の対応だった。
あたかも麻生派クーデター
亡くなった長島氏は自民党でも二階派(志帥会)に所属した。その領袖である二階俊博同党幹事長と、県議の星野伊佐夫元同党県連会長のラインが、5区の候補者選考に際し「強引に泉田推薦で押し切った」という。やがて選考委員会の内部や、選挙区外の自民党関係者から、星野県議に対する非難が集中した。…続きは本誌に